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私達太陽系が属する天の川銀河。その中心部には桁違いの重力のある超大質量ブラックホール『いて座A*』があると考えられています。この天体に関して、実は一つのブラックホールではなく、2つのブラックホールからなる連星となっている可能性があると報じられています。

The Conversationによると、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の物理学によると、天の川銀河の中心に潜むいて座A *と呼ばれる超大質量ブラックホールはこの天体を周回する恒星の動きから太陽の約400万倍の質量を持っていると導き出しています。

Supermassive black hole at the center of our galaxy may have a friend

実はこのいて座A*を周回する恒星の観測から近くにもう一つ質量は小さいものの太陽の10万倍ほどの質量のある2番目のブラックホールが存在する可能性がゼロではないとのことです。

観測に用いられているのはいて座A*を周回する恒星『S0-2』です。この天体の研究からは現時点では2番目のブラックホールが存在している可能性は無いと考えられています。しかし、S0-2の軌道から2番目のブラックホールが存在することはできないと完全否定されているものではなく、将来観測技術が向上することで未知のブラックホールの存在が発見できるかもしれないとしています。


▼いて座A*の周囲を公転する6つの恒星の軌道
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では、新しい学問として注目されている重力波天文学から見つけ出すことはできないのでしょうか。具体的にはLIGOレーザー干渉計重力波天文台など既存の観測装置から、この2つのブラックホールは観測可能なのかという点です。仮にブラックホール連星となっていたと想定される重力はのゆらぎの波長は長いものとなっているため、中性子星などが合体する時に発生するような高周波の重量波とは異なっているため観測することはできないとしています。
従って、このような低周波の重力波を観測するには欧州宇宙機関がESAが2034年に打ち上げを予定している宇宙重力波望遠鏡「LISA」などの最新の観測装置が必要になってくるとのこと。

天の川銀河の中心に1つ以上のブラックホールがある可能性については、銀河系誕生の過程で他の銀河と衝突し合体することがあり、他の銀河にあったブラックホールがいて座A*に飲み込まれるかその周囲を周回している可能性があると考えられているとのことです。