現在、私達が当たり前のように利用できるようになった旅客機の旅は第2次世界大戦以前では考えられないものでした。この戦争では多種多様な航空機が製造され、結果的にその技術は戦後の航空機にも生かされ後の旅客・輸送に大きな影響を与えることになります。

現在運用されている旅客機は一度に数百人が乗り込めるなど第2次世界大戦前には考えられないほどの高性能な機体となっているのですが、実はここに至るまで様々な改良が加えられています。その一つが窓です。

機体形状や強度そして製造コストを考えた場合、わざわざ窓を取り付ける必要はないと考えられるのですが、この窓はどのように経緯を辿り現在の形状となったのでしょうか。

今回紹介する記事はかなり詳しいことが記載されているのですが、大雑把に紹介するとこのようになります。

Why airplane windows have round corners | Just Well Mixed

第2次世界大戦が終わってから10年も経たない1950年代、ジェットエンジンを搭載した旅客機『DH.106 コメット』が誕生しました。これが現在に続くジェット旅客機の誕生といった感じになるのですが、実はこの旅客機には致命的な欠陥がありました。それが窓の形状です。

▼DH.106 コメット


1954年1月10日、DH.106 コメットが地中海上空でトラブル起こし墜落、乗員乗客全員が死亡するという航空事故が発生。そして僅か3ヶ月後にも再び同型機が墜落するという事態が発生しました。
この事故を受けて墜落した機体を回収し事故原因を探ったところ、どうやら機体の四角い窓に原因がある可能性が高いと判断されました。

DH.106 コメットは従来エンジンを搭載した機体よりも高高度を飛行することができました。従って客室内の気圧と機外の気圧に大きな差が生じているのですが、この気圧差により四角い窓に力が集中。結果的に窓枠に負荷がかかり続けたことで金属疲労が生じ飛行中に破損。窓を失った機内は急減圧が生じ機体構造が崩壊、墜落したと結論ずけられたといいます。

その後、窓の形状が見直され現在のようなカドの無い丸い形状になったそうです。ちなみにDH.106 コメットの場合、四角い窓はわずか1年程度の機体運用で破損してしまうというものでした。また2つの墜落事故についても運行開始からわずか1年後の出来事だったとのことです。