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イラン政府がウクライナ国際航空の旅客機を撃墜したことを正式に認めましたが、これまでも軍事兵器いにより撃墜された旅客機は複数存在しています。過去の例を幾つか紹介しどのような理由から撃墜されたのか紹介していきます。

軍が民間の旅客機なのかそうでないのか誤認から発生したとする今回のウクライナ国際航空撃墜事件。実は過去にも軍用機と誤って判断したり、計画したルートを外れたことで撃墜されたケースが幾つか存在しているのはご存知でしょうか。今回は1970年代以降に発生した軍事兵器による旅客機(民間輸送機を除く)事件を紹介していきます。

リビア航空機撃墜事件

最初に紹介するのは1973年2月21日に発生したものでイスラエル空軍機により撃墜されました。撃墜されたのはリビア航空のボーイング727で当時、厚い雲の中を飛行し続け目視での位置感覚を失い、さらに地上の管制レーダーが故障したたことなどで管制官も当該機の位置を掴めないという問題が発生。
その後、当該機は計画ルートを外れスエズ湾に近づくとイスラエル軍がレーダーで捕捉。戦闘機が緊急発進し警告射撃など複数の方法で強制着陸するよう指示したものの当該機のパイロットが混乱しており、結果的に逃走と判断され機関砲による攻撃が実施されました。機体が損傷したことにより緊急着陸を試みるものの墜落し113人のうち108人が死亡しました。

大韓航空機銃撃事件

1978年4月20日大韓航空902便(KAL 902)はパリからアンカレッジ経由でソウルまで飛行する定期便だったものの、当該機は北極海上で進路を外れ、コラ半島近くのソ連空域に侵入。結果的にソビエト戦闘機によって攻撃を受けました。当該機はフィンランド国境近くの凍ったコルピヤルビ湖に緊急着陸を実施。乗客109人と乗組員のうち死亡したのは2人でした。

大韓航空機撃墜事件

おそらく軍が旅客機を撃墜した事件として日本で最も有名なのは1983年9月1日に発生したこの事件です。機体はニューヨークからアラスカ州アンカレッジを経由してソウルに向かう途中、当初の計画ルートから外れ、米国の空中偵察任務が行われている時にソ連の禁止空域に侵入。ソ連空軍は、警告射撃を実施したものの当該機のパイロットからは見えていなかった可能性があると指摘されています。結果的にソ連の戦闘機はこの機体を米国のスパイ飛行機として判断し空対空ミサイルを発射し撃墜。乗員乗客269人全員が死亡しました。

イタビア航空870便事件

イタビア航空870便事件
1980年6月27日、イタリア国内便が突然空中爆発してシチリア島沖に墜落した航空事故。フランスの協力で機体の65パーセントの残骸及びフライトレコーダーが回収されました。この事件は爆発により墜落したことは明らかだったものの、何が原因で爆発が発生したのかは現時点でもよくわかっておらず、あくまで可能性として空対空ミサイルにより撃墜されたと考えられています。この判断に達したのは2013年です。

イラン航空655便撃墜事件

先日、アメリカがイランを攻撃した際、報復が行われた場合は52箇所を直ちに攻撃すると発表していました。これは1979年の在テヘラン米大使館人質事件で444日間にわたり人質となった米国人52人と同じ数を出したものです。一方、イランは反論しアメリカの300箇所を攻撃すると発表していました。実はこの『300』という数はこの事件からきています。

1988年7月3日、アメリカ海軍のミサイル巡洋艦ヴィンセンスから発射されたSM-2MR対空ミサイルによってイラン航空655便は撃墜されました。当該機はテヘランからドバイまでの定期旅客便でペルシャ湾のイランの領海を通常のルートに沿って飛行。経由地であるイラン南部のバンダレ・アッバース 国際空港を出発した直後に墜落しました。 原因はアメリカ政府の発表として当時、巡洋艦の乗組員がイラン空軍の米国製ジェット戦闘機F-14トムキャットが自艦に向けて攻撃態勢に入ったと未熟なオペレーターにより誤認識されました。結果的に放たれたミサイルはイラン軍の戦闘機ではなく旅客機のエアバスA300に命中し290人全員が死亡しました。

シベリア航空機撃墜事件

2001年10月4日、ロシアの航空会社シベリア航空(S7航空)ツポレフTu-154Mが、イスラエルのテルアビブからロシアのノボシビルスクに向けて飛行中に黒海上空で墜落した事件です。当初、アメリカで発生した旅客機による同時多発テロ(9.11)の直後であったこともありテロが有力視されていました。しかし、事件発生から2日後にロシアが「ウクライナ軍の射程300kmあまりの地対空ミサイルS-200により撃墜された可能性がある」と主張。しかし、ウクライナ側は当初事実関係を否定。結果的にウクライナが関与していたとして正式に謝罪し賠償が行われました。当時ウクライナでは軍事演習が行われておりミサイルが運用されていたとのことです。

マレーシア航空17便撃墜事件


2014年7月17日、オランダのアムステルダム・スキポール空港からマレーシアに飛行していたボーイング777-200ERが撃墜された事件。当該機が飛行していたのはウクライナ上空で、当時ウクライナ東部では政府軍とロシアからの支援を受けていた親ロシア派による内戦が発生していました。

数々の証拠から撃墜したのは地対空ミサイル「ブーク」で新ロシア派の武装勢力(事実上のロシア軍)がこれを使用していたと考えられています。また撃墜当時、ウクライナ空軍のAn-26輸送機が撃墜されたとロシアのポータルサイトが速報で伝えた他、親ロシア派の人間が輸送機を撃墜したとSNSに投稿していたことも明らかになっています。この事故は、ロシア側は認めていないものの親ロシア派が旅客機をウクライナの軍用輸送機と誤認識に撃墜したもので、乗員乗客298人全員が死亡しています。
この事故では親ロシア派の武装勢力が墜落機や遺体の隠蔽を図った他、犠牲者の現金や貴重品を略奪するなど前例の無い行為をしていたことが明らかになっています。