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核兵器開発疑惑などから国連による制裁決議が課されているイランに関して、先日ザファル(Zafar)という人工衛星を打ち上げたものの軌道への投入に失敗したと報じられています。

イラン国営テレビが報じた内容として、イランの国防省は現地時間2月9日にザファル(Zafar)衛星を搭載したロケット『シムルグ』(Simorgh)を打ち上げたものの、軌道に到達することはできなかったと発表しています。

Iran satellite launch fails, in blow to space programme

▼動画で解説

イラン国防省によると報道官は当初「人工衛星の打ち上げは成功。飛行経路の90%を達成しており、高度540kmに達した」と発表していました。しかし、国防省の宇宙部門アーメド・ホセイニ氏は国営のテレビ番組内で「ロケットは最後の段階で必要な高度に達しなかった」と打ち上げが失敗したことを認めました。

今回、ロケットの打ち上げは11日の革命記念日、また今月実施される議会選挙の前に行われ、イランにとっては打ち上げ自体が重要な意味があったと考えられています。

▼シムルグ(過去の打ち上げのもの)
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搭載された人工衛星『ザファル』は重量が113kgあり、主に宇宙から地上を撮影することで地震の研究や自然災害、また農業の発展に役立てるものだったとしています。

イランについては2015年7月、国連で全会一致で採択されたイランの核問題に関する国際連合安全保障理事会決議第2231号で禁止された、核兵器を運搬できるように設計された弾道ミサイルに関連する活動を発射を含め行わないよう求めており、アメリカは今回の発射そのものを国連の制裁決議違反だと反発しています。

イランは「核兵器を保有する意図はない」「航空宇宙活動は平和目的であり国連の決議には違反していない」と主張しています。

▼過去の打ち上げの様子
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今回打ち上げられたロケット『シムルグ』は全長27m、直径2.5mの小型ロケットで打ち上げ能力は国際宇宙ステーションが周回しているような高度500km前後の地球低軌道に350kgの打ち上げ能力があるとされています。

ロケットの第1段はバーニアという姿勢制御用の小エンジンを搭載したメインエンジン4基を搭載しており、このエンジンは北朝鮮の弾道ミサイル『ノドン』のものを改良したものと言われています。2段目にはサフィールと呼ばれるイラン製のロケットエンジンが搭載されています。こちらに関しても北朝鮮及び中国からの技術支援により開発されたものと言われており、イランの宇宙開発には北朝鮮の技術が多く取り入れていることが伺えます。

シムルグの打ち上げは過去4回実施されており、2016年4月に打ち上げられた人工衛星を搭載していない初号機の試験打ち上げには成功したものの以降の3回の打ち上げは全て失敗しています。