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太陽のような核融合を起こしている天体に近ければ近いほど周回する惑星の表面温度は熱くなるのですが、最近これまで観測された系外惑星の中で最も高温の天体が発見されたと報じられています。

NASAの研究機関の一つ JPL、ジェット推進研究所は地球から見て白鳥座の方角にある650光年離れた KELT-9bという惑星に関して、その表面温度が観測史上最高となる 4300度に達していたという研究結果を発表しています。

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▼動画で解説


KELT-9bは恒星であるKELT-9を公転している惑星です。それぞれの特徴を紹介すると恒星のKELT-9は太陽の2.5倍の質量がある天体でKELT-9bはその周囲をわずか36時間の周期で公転しています。
KELT-9と KELT-9bの距離はわずか0.03AUしか離れておらず、太陽系に置き換えると太陽と水星の距離のわずか1/10しかありません。KELT-9bは木星質量の2.88倍もある巨大ガス惑星であり、天文学では『ホットジュピター』に分類されています。

▼太陽系最大の木星とKELT-9b(想像図)のサイズ比較
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NASAが運用するスピッツァー宇宙望遠鏡による観測では、KELT-9bは惑星の同じ面を常に恒星側に向けている潮汐ロック状態にあると考えられており、昼側つまり恒星側の半面は最高温度が4300度に達している可能性があるとしています。この温度では水素分子が分子の状態を保つことができず、分離した水素原子が惑星を循環し裏側にまわることで再び結合し水素分子に戻っているのではないかと考えられています。
また惑星の裏側の温度も2300度近くあり、一つの天体で温度差が2000度に達するという極めて高温で極端な惑星であることがわかります。

NASAによるとこの天体で『水素分子の分離が無い』と想定した場合、惑星では水素の大気が秒速60km/s、時速換算で21万6000km、音速の175倍という桁違いな風速という計算になるらしく、おそらく水素分子の分離が発生しそのような風は生じていないと想定しているとのことです。