新型コロナウイルスという未知のウイルスの最前線に立たされている医師。一方で医師らが使用する高性能マスクが不足していると連日報道されているのですが、武漢市にある病院における医療スタッフへの新型コロナウイルスの感染率に関してマスクの有無による研究が発表されたと報じられています。
簡単にまとめると韓国メディア聯合ニュースによると、国際学術誌「病院感染ジャーナル」(Journal of Hospital Infection)の3月号で中国の武漢市にある武漢大学中南医院の研究チームは、2020年1月2日から22日、新型コロナウイルスの患者の診療に従事した医療スタッフ493人(医師135人、看護師358人)を対象に、マスクの着用の有無による感染のリスクを分析した結果を発表しました。
- 医療従事者493人を対象にマスク着用や接触等の有無を調査
- 結果、高性能マスクを着用していたグループの感染者はゼロだった
- 感染者と接触が低くマスクをしていなかったグループは10人の感染者がでていた
- 着用していないグループでは着用していたグループよりも感染リスクは465倍高い
- マスクを着用していたグループはそうでないグループはよりも頻繁に手洗いをしていた
"N95 마스크가 의료진에 꼭 필요한 이유…감염위험 465배 차이" | 연합뉴스
この研究によると493人のうち278人(医師56名、看護師222人)は、新型コロナウイルスの感染の危険が高いエリアに勤務しN95という高性能の防疫マスクを身に着けていたといいます。一方、残りの215人(医師79名、看護師136人)は、感染のリスクが低いと考えられる病院内で主に仕事をしており普段からマスクを身に着けていなかったといいます。これほどの惨事に関わらずマスクを着用していなかったのは当初感染症のリスクが正しく把握されていなかったからだと研究チームは発表しています。
では医療従事者でどのように感染が広まったのでしょうか。
まず接触頻度としてはN95マスクを着用した医療従事者における新型コロナウイルスの患者接触頻度は、マスクを一切使用しなかったグループよりも8倍以上高かったことが分かったといいます。
この2つのグループを対象に医療従事者における新型コロナウイルスの感染者を比較分析したところ、N95マスクを着用した医療従事者、つまり医師や看護師は頻繁に新型コロナウイルス感染者と接触していたにも関わらず調査期間中では感染者が1人も出ていなかったことが分かったとしています。
一方、新型コロナウイルス患者との接触が多くはなかったもののマスクを着用していなかった医療従事者のグループでは10人の感染者が発生していました。このことから研究チームはN95マスク未着用グループでは新型コロナウイルスの感染率は464.8倍高いと推定しました。
研究チームは「N95マスクを着用した医療従事者はマスクを使わない医療従事者より手洗いも多く行っていた」とし「(医療従事者における)N95マスク着用と手洗いが新型コロナウイルスの感染を防ぐ効果的な方法と考えられる」と述べています。
研究チームによると今回研究の対象となった同じ武漢市にある2つの別の病院でもN95マスク着用と新型コロナウイルス感染率について調査したところ同様の傾向が見られたと付け加えています。