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みなさんの身の回りにもいないでしょうか、集団行動を意識せずあえて距離を置くような人が。実はこのような生き方をするモノのは虫から植物まで生き物であれば不思議と見つかると言います。なぜ彼らはわざわざ集団から離れるのか。そこには種の存続に理由がある可能性があると指摘されています。

狼といえば徹底した集団行動で狩りをする動物として知られていますが、『一匹狼』という言葉があるくらい集団から離れ一人で生きる個体が確認されています。狼については集団からはじき出された個体もいるのですが、実は集団から離れ一人で生きる個体については集団で移動するイナゴでも確認されており、生き物であれば例え植物であっても誰かに教わることなくそのような生き方をする個体が出てくるといいます。
なぜ集団から離れるのか、このような個体に関してアメリカ・プリンストン大学の進化生物学者が粘菌を用いて研究を行った結果を発表しています。

Evolution selects for 'loners' that hang back from collective behavior—at least in slime molds

専門的で難しい内容が記載されているのですが、結論としては、このような集団から離れる個体について引きこもることで集団全体の被害や個体群全体さらに社会性を全滅させないように賭けのヘッジ戦略として機能している可能性があるとしています。逆に言えば一匹狼は社会的側面を維持するための鍵となるかもしれないと主張しています。
もっと噛み砕くと、グループが全滅するような感染症や病気などの被害が出た場合、一匹狼が生き残ることで結果的に種の保存が可能になるというものです。

専門用語が多いため翻訳の誤りがあるため研究内容については詳しく紹介はできないのですが、粘菌を用いた研究では様々な条件下で一匹狼を無くそうとしたものの完全に排除することはできなかったとのこと。また野生の環境で採取した粘菌を育てたところ、集団を離れ一匹狼になる率はなと30%もあったといい想像以上に多いことが分かったとしています。

また、一匹狼になる率についてはその環境で個体が最も少ない場合はすべてが一匹狼狼になるものの、集団が一定の閾値を超えるはじめると一匹狼になる率は一定に収まるといいます。

動物や植物を見て「離れているのは可愛そうだ」とグループに戻してあげた方もいらっしゃると思うのですが、種の存続を理由にあえてそのような個体がいるというのは認識しておく必要があるのかもしれません。

*抄訳したものを掲載しています