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中国で今月9日に打ち上げた長征3Bロケットに関して上段のロケットに何らかの不具合が発生したことで打ち上げが失敗しました。このロケットはグアム沖合で大気圏再突入し、その様子が地上から撮影されるという非常に珍しい出来事がありありました。

中国南部の内陸部にある西昌衛星発射センターから現地時間4月9日午後7時46分頃、インドネシア企業が開発した通信衛星を載せた長征3Bロケットを打ち上げたものの失敗したと海外メディアが報じています。

Long March 3B fails during Indonesian satellite launch - NASASpaceFlight.com

搭載していた人工衛星は通信衛星Palapa-N1というもの重量は5.5トン。インドネシアの全域に対して衛星通信が可能になる予定だったとしています。

こちらがグアムから撮影された大気圏再突入する長征3Bです。長年この手の話題を紹介しているのですが、地上から撮影されたロケットの大気圏再突入映像というのは見たことがなく、映像そのものは大変貴重なもの考えられます。

今回の打ち上げ失敗については具体的なトラブル内容は明らかになっていないものの長征3Bの上段、3段目でトラブルが生じたとしています。

一般的な長征3Bの打ち上げでは2段目と3段目の分離は打ち上げ後341秒後に実施されます。3段目の燃焼は2回実施され最初の燃焼は4分44秒間、2回目は179秒間です。その後20秒間最終的な速度の微調整が実施され人工衛星が切り離されます。これは打ち上げから25分38秒後です。

今回グアム付近で3段目もしくは人工衛星の大気圏再突入が確認されたとすれば、3段目が切り離された後の早い段階でトラブルが生じていた可能性が考えられます。何れにしても人工衛星の分離には失敗したとしており、既に衛星は失われていると報じられています。

長征3Bは1986年に開発が始まり1996年に初打ち上げが実施されました。しかしこのロケットが打ち上げ直後に姿勢を崩し、近くの街に墜落し中国発表で6人(西側は200~500人)の死者が出たとされています。

長征3B

今回を含め67回の打ち上げが実施されており失敗したのは3回目となりました。ロケットの打ち上げ能力は国際宇宙ステーションが周回しているような高度500km程度の低軌道に12トン、静止軌道へ5.5トンの打ち上げ能力があり、中国は過去このロケットを用いて月に探査機を送り込み着陸に成功させています。