
地球上の多くの場所で採取できる鉄です。川底をさらえば簡単に砂鉄も拾うことができるのですが、地球で採取できる鉄の中に中性子が4つ多い60個の中性子がある希少同位体が見つかっているといいます。実はこのレアな鉄はかつて超新星爆発で生まれ地球に降り注いだものでした。
宇宙由来の塵の成分が、思いもよらない場所で発見された。地球上で最も寒冷な場所のひとつ、南極である。ドイツの研究チームによる研究結果によると、これはどうやら超新星爆発で生成された「星くず」らしい。しかも現在も地球に降り注いでいるようなのだ。記事によると太平洋の海底にある堆積物の化石の中から中性子が4つ多い鉄が発見されていたといいます。分析の結果、この堆積物に含まれる鉄は200万年前に地球外から降り注いだ可能性が高いことが最近の研究で示されているそうです。
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研究チームは南極の表面で過去20年以内に降り積もった雪500kgを集めて濾過することで固形物を集めました。このサンプルに対して超高感度質量分析計を用いた結果、約72,000個もの4つの中性子のある鉄原子を見つけたといいます。
この希少な鉄については原発事故や核実験などでも僅かに生まれるとしているのですが、南極の雪から検出された量は推定された地球の産、つまり原爆や原発事故由来の量を大きく上回ったといいます。
その上で、研究チームによると希少な鉄は地球上では人間以外作り出すことができず推定された量よりも遥かに多かったことから宇宙から降り注いだものだと判断しました。
中性子が4つ多い鉄の半減期は262万年。現在確認されているこの鉄は地球に歴史からすると最近地球に降り注いだものと判断できます。研究者によると太陽系は4万年前から星間雲に突入しているといい、仮にこの仮説が正しければ4万年以上前の地層から中性子が多い鉄の発見は難しいはずだとしています。
そのため、中性子が多い鉄を分析することができれば過去太陽系がどのように星間雲に突入し脱したのか、その歴史や太陽系の移動に関する研究も進めらことになると記事では指摘しています。
超新星爆発由来の鉄は私達が手にすることはほぼ不可能ですが、実は超新星爆発後に誕生する中性子星同士の衝突で生まれた金属は多くの人が既に手にしています。これは『金』で、電子機器などに当たり前に用いられている金属はかつて宇宙のどこかで発生した中性子星同士の衝突というビッグイベントで生成されたことがわかっています。