ジャイアントインパクト

惑星が大きくなる過程で生じるのは複数回の天体衝突です。これは地球も例外ではなく過去複数の衝突を経て現在の大きさになったと考えられているのですが、一方で惑星同士の大規模な衝突が発生した場合、大気はどの程度失われるものなのでしょうか。

初期の太陽系では地球の月が形成されるきっかけになったり天王星の自転軸を傾けたりするような巨大衝突が起きたと考えられており、最近では太陽以外の恒星の周囲でも巨大衝突の痕跡とみられる観測データが得られています。今回、地球のような惑星が巨大衝突を経験する際に大気がどのような影響を受けるのかがシミュレーションを通して分析されています。

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今回の研究はイギリス、ダラム大学の研究チームが行ったもので、それによると月が生まれたときの天体衝突、いわゆるジャイアントインパクトという原始地球に対し火星ほどの天体が当初したと考えられるイベントを複数回再現したところ、このような衝突であっても原始地球から失われる大気は10%程度に過ぎないことがわかったとのこと。

研究では惑星の質量や組成、衝突の角度や速度など100通り以上をコンピュータシミュレーションしたものだとしています。ただ、『10%程度』というのは100通りの平均なのかは記載がなく不明ですが、例外として研究チームによると原始地球に対して火星サイズの天体が高速かつ真正面から衝突するような場合では大気のほぼ全てが失われたとしています。


地球のお隣にある金星、サイズは小さいものの火星にも大気があり天体ごとに異なる大気圧の差は過去の天体衝突の有無が直接影響しているのかは定かではないと考えられます。
現在の地球に大気があるということは過去、大気が失わるほどの致命的な衝突は発生していないということになり、ジャイアントインパクトがどのような状態で発生したのか紐解く研究が進むものと思われます。