アメリカ軍の極超音速ミサイル_1

速度と機動性を活かし確実に対象を破壊することを目的にした核弾頭を搭載可能な極超音速ミサイル。これに関して今年実施されたという米陸海軍は極超音速ミサイルの試験機とする写真を公開したと報じられています。

中国メディア『环球网』によると、8月4日アメリカ陸軍は海軍と協力して今年はじめに実施した極超音速ミサイル実験の新たな映像を公開したと報じました。これは飞行试验-2(飛行試験2)とされる試験で、最終的に陸上発射型および潜水艦発射型の極超音速ミサイルとして配備を目指します。

美军解密高超音速导弹测试片段 击中目标瞬间曝光

公開された動画には飛行中の極超音速ミサイルが写し出されているもののそれがどのくらいの速度で飛行しているのか射程はどのくらいなのかは一切公開されていません。アメリカ国防総省は「目標から数百~数千マイル離れた場所を攻撃することができる」とし「滑空速度はマッハ17に達する」と過去に話しています。

▼ターゲットに命中したとする画像
アメリカ軍の極超音速ミサイル_2

記事によると、極超音速ミサイルの次のテストはいつ行われるのかは不明でとし、米陸軍としては2022年に陸上発射システムのテストを行い2023年には初期運用能力を獲得することを望んでいます。米海軍はバージニア級弾道ミサイル潜水艦に極超音速ミサイルを配備する計画が進められているとのことです。

極超音速ミサイルと弾道ミサイル

極超音速ミサイルと弾道ミサイルの大きな差は弾道ミサイルは一般的にボールの玉のように放物線を描く軌道で落下してくる特徴があります。そのため大気圏再突入後も一直線に落下するものが多く動きが少ないためミサイルにより迎撃することは現代の技術では可能とされています。
しかし、極超音速ミサイルは弾道ミサイルのように打ち上げられ宇宙空間に達するものの、大気圏再突入後は滑空する形で進路を自在に変化させることができ、既存のミサイル防衛ではその速度と機動性により迎撃は難しいと言われています。

▼直線上に落下する一般的な弾道ミサイルの弾頭


この『マッハ17』という飛行速度は実現可能なのか。速度に注目するとアメリカの民間企業スペースXが運用する再使用ロケットファルコン9が地球に帰還するときの最大落下速度は『マッハ5.7』前後、北朝鮮が保有する最大の大陸間弾道ミサイル 火星15は過去に『マッハ24』で大気圏に再突入しています。米軍のミニットマンという大陸間弾道ミサイルの最大飛行速度は『マッハ19.4』。また地球を周回する国際宇宙ステーションは『マッハ22』、人工衛星を打ち上げるイプシロンロケットは『マッハ23』で人工衛星を展開しています。

問題となるのは大気圏再突入後、大気圏内を極超音速で滑空する際に生じる大気との激しい熱に耐えることができる素材開発、および滑空技術とターゲットへの命中能力と考えられ速度自体は大した問題ではないと考えられます。