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実用型ティルトローター機として現在、アメリカ軍及び唯一国外では日本が運用しているのはオスプレイこと『V-22』です。その派生型として開発されているのは海軍、特に空母との輸送任務を担当する『CMV-22B』です。いったいどのような機体なのでしょうか。

中国メディアによると、米海軍研究協会のレポートとして今年2月に最新のオスプレイの派生型となるCMV-22Bが初めて米海軍に引き渡されたと報じています。

美军新型航母舰载机交付 能运送整个F-35C战机发动机

記事によると、製造されたCMV-22Bはテキサス州の組立工場で海軍に引き渡されたと発表しており、米海軍としては第21航空試験・評価飛行隊に引き渡し、運用に向けた試験が実施されることになるとのこと。CMV-22Bはメーカーによる初飛行が2019年12月に実施され、2021年にも配備予定という開発の速さです。この配備計画では初の艦載型F-35Cと共に空母『カール・ビンソン』に配備する予定とのこと。現在カール・ビンソンはF-35Cの運用に向けた改修が実施されています。


▼CMV-22Bに積まれるF-35Cのエンジン
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さて、海軍型(事実上、艦載型)CMV-22B オスプレイはいったいどのような運用が行われるのでしょうか。記事によると、最終的には現在空母で運用されている輸送機、C-2A「グレイハウンド」を退役させCMV-22Bに置き換える計画です。C-2Aはカタパルトを用いて射出されワイヤーに引っ掛ける形で着艦します。CMV-22Bであれば垂直離着陸も可能であるためカタパルトなどの空母の装備を必要としない特徴があるとのこと。

そして最大の理由としてはF-35CのエンジンをCMV-22Bが輸送可能という点です。米海軍としてはこの戦闘機のパーツを輸送する能力『後方支援能力』を重要視しており、本来CMV-22Bの配備計画は数年先だったものの大幅に前倒ししていた経緯があります。



海兵隊型V-22オスプレイとCMV-22B オスプレイは見た目あはあまり変わらないもののいくつか設計の変更がされています。特に輸送能力を高めるため主翼に追加で227リットルの追加燃料を搭載可能で、機体左右の張り出した部分も大型化し燃料を搭載可能で、合計の燃料の搭載量は2.5トン増加され8.8トンとなりました。これにより2722kgの貨物を載せた状態で2130kmの航続距離を確保することができています。
これはC-2Aとは桁違いの積載能力・航続距離で従来のC-2Aでは2000kmの飛行距離を確保するには350kg程度まで貨物量を制限する必要がありました。

今回、開発を迅速に達成することができた製造元のベル・ヘリコプターおよびボーイングに対して米軍側が高く評価していると記載されています。

空母の戦闘能力は一般的に空母そのものの搭載量と運用する航空機の戦闘能力が注目してしまうものの実際は空母に対しての強力な輸送能力も重要であり、地球規模で活動する空母の能力を最大限引き出すには物資輸送の強化は必要不可欠という印象を受けます。