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地球上にいる数え切れないほどの微生物。私達人間であれば宇宙空間に晒されれば直ちに死亡するほどの脅威となるのですが、微生物を直接宇宙空間に晒すという実験を行った結果、なんと3年間も生き続けていたことが分かりました。

この研究を行ったのは国際宇宙空間の日本実験棟である『きぼう』です。JAXA及び東京薬科大学、国立放射線科学研究所など複数の合同研究により明らかになった実験で、高度約400kmのほぼ真空状態の宇宙空間で微生物を国際宇宙ステーションの機外の宇宙空間に晒し、生物が生き続けられるかというとある仮設を探る目的で行われた研究になります。

We Just Got More Evidence Bacteria Could Survive The Journey Between Earth And Mars

今回実験の被検体となったのはデイノコッカス・ラディオデュランスという知る人ぞ知る極限環境微生物です。
この種は人間が全員死亡するレベルの放射線よりさらに約1万倍以上の被曝を受けても半分は生き残るという地球上で最も放射線耐性があるいわれる生物です。更に、高温、低温、乾燥、低圧力など様々な耐性があり地球上ではある意味で最強レベルの微生物が用いられたということになります。

詳しい研究内容については専門用語の関係で正しく理解することは難しいのですが、今回の研究はそもそも何のために行われたのかという始まりから紹介すると『パンスペルミア説』です。パンスペルミア説とは地球上の生命は『他の天体から飛来し広がったのではないか』という仮設で、このような原始的な生命体を載せた岩石などが天体衝突などにより宇宙空間に飛び散り、長時間かけ地球に落下し現在の生命の基礎になったのではないかという説になります。


結果的に、今回きぼう実験棟が行われた研究からは微生物は長期間宇宙空間に晒されたとしても生き続けることができパンスペルミア説は空論ではないことが証明されました。

地球誕生から既に46億年が経過しておりこの間生命が既に誕生している地球にも大小様々な隕石が衝突しています。これにより地球から飛び出した岩石と生命体が例えば火星やその他の惑星や衛星にも広がり地球由来の微生物が生き続けていることも予想できます。現在の火星は地球よりもはるかに過酷な環境であるものの宇宙空間と比べるた場合は比較にもなりません。

▼被検体となったデイノコッカス・ラディオデュランス
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地球から近い『月』も例外ではなく、極付近の氷に地球由来の古代微生物が凍ったまま存在し続けている可能性もゼロではありません。もしかしたら遠い将来、太陽系内で見つかるであろう様々な微生物が共通していたという論文も発表される日がくるかもしれませんね。

また今回の3年という期間は地球から飛び出した物質が火星に届くまでの時間を考慮されたものだといい、東京大学の生物学者は「地球や火星間でこのような微生物が生き残ることを示唆する研究となった」と説明しています。

ちなみに地球のような大気のある惑星に落下した場合、高温に晒されても生き続けることができることは既にロシアが研究済みです。また国際宇宙ステーステーションの窓の外を拭いたところ地球由来の海洋生プランクトンが付着していたことが分かっており、地球付近を通過するだけで微生物が付着してしまうことも示唆する研究が発表されています。