Oceanbird_1

蒸気などの動力が登場する前、風を推進力として用いていたのは帆船と呼ばれる船です。現在運用されている帆船は訓練船や練習船、調査船など極一部に留まっています。そんな帆船に関してスウェーデンでは輸送船に現代風の帆を設けというデザインを公開しました。

スウェーデンに本社を置く海運会社Wallenius Marineはスウェーデン海洋調査センタ(SSPA)及びスウェーデン王立科学アカデミーとの共同で開発しているという輸送船『Oceanbird』のデザインを公開したと報じられています。

Oceanbird's huge 80-meter sails reduce cargo shipping emissions by 90%

帆を使った船は非常に古い時代から用いられておりクウェートで発見された遺跡から紀元前5,000〜5,500年頃から使用され始めたといわれています。しかし蒸気技術や現代では小型高出力なガスタービンエンジンが開発されたことで、小型船など除きほぼ使用されなくなりました。

近年環境保護という一環からエコな輸送技術が推進されており当然船も例外ではありません。現時点で複数の海運企業が二酸化炭素などの排出量を抑えた帆を利用した貨物輸送を再び戻す計画に取り組んでいます。



今回発表された輸送船『Oceanbird』は北大西洋間で使用することを目的としてデザインされたもので、スペックとしては高さ80mの格納式ウィングセールを5基搭載しました。これにより大西洋間を平均10ノットという低速で最大7000台の車を搭載して輸送可能になるとのこと。帆を用いることで輸送にかかる二酸化炭素排出量は90%削減することができると主張しています。ただし、速力が落ちることで内燃機関を搭載した船では8日間の航路を12日掛かってしまうとのこと。


この手の帆を使用した輸送船というのは実は日本には1980年代にオイルショックを受け化石燃料の消費を抑えようという理由で帆を搭載した世界初のタンカー『新愛徳丸』(参考)が登場しています。しかし、造船にかかる初期費用が高く、帆が原因でバラストタンクを搭載しなければならないことで運べる貨物量が減ったこと、そして固定されたマストが原因で港にかけられる橋の下をくぐれない箇所があるなど弊害が複数見つかり一般化することはありませんでした。
ちなみに新愛徳丸は帆を用いることで燃料を50%削減することができたなどとされているものの、様々なものを差し引きした場合、従来よりも10%ほどしか削減することができなかったとされています。

近年開発された同じような風を推進力とする船も固定された帆を搭載されることが多かったのですが、今回デザインされた輸送船『Oceanbird』の帆は格納式と表記されているように必要に応じて20mの高さまで縮めることができるとのこと。これにより荒らしに遭遇した場合も安全に航行することができるようになると主張しています。ちなみに格納式のウィングセールについては同様の理由から日本でも開発されている技術の一つです。

同研究チームは全長7mの小型模型を使用し今後海上での試験航行を数カ月間行う予定です。輸送船『Oceanbird』の実物大のサイズは全長200m、幅40mで竣工した場合世界最大の帆船になるしています。
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