image_22

開発した薬が人体に対して本当に有効なのか。研究段階では偽薬効果つまりプラシーボ効果を確認する実験が行われています。このプラシーボ効果について、事前に偽物と知っていたとしても本物の薬と同じような効果が出てしまういう研究が報告されています。

本物のように見えるが実際には効果がない「偽薬」を服用した場合でも、患者や被験者に何らかの効果が現れるという現象をプラシーボ効果と呼び、一般的には「偽薬とは知らない患者」に対して処方された時に効果が認められます。しかし、アメリカの研究チームが行った研究により、人々が「自分が服用しているのは偽薬である」と理解している場合でも、被験者に効果が現れることが判明しました。

GIGAZINE
例えば100人の患者に開発段階の試験薬を投与した場合、一つのグループは本物を、もう一つのグループは薬と称した偽物を投与しそれぞれ、双方でどのような変化があったのかという実験は当たり前のように行われています。

当然、この試験では試薬を投与する医師も患者もどちらが本物の薬でどちらが偽物の薬なのかは一切分からず伝えられることはありません。しかし、その患者の中には偽薬であっても本物の薬のように振る舞ってしまう、場合よっては症状が改善してしまうというのはこれまでも確認されています。
例えば睡眠薬などは最初は人体に影響の無い薬を渡し服用してもらうことで患者の症状が改善するという例が報告されているため、プラシーボ効果を狙ってあえてそのような処方をしている場合があります。(一般的な治療方法ではないため、本人または家族の事前同意が行われるとされている)

さて、このプラシーボ効果について被験者に対して「これた偽薬なので効果は出ませんよ」と事前に伝えた場合はどうなるのでしょうか。当然プラシーボ効果は期待できない想定できるのですが、予想外の結果が出たと伝えられています。


記事によると、今回の実験では『否定的な感情を覚えるように設計された画像40枚』を見てもらい精神的苦痛をどれだけ感じたのか直接の回答と脳波測定の2通りで観察しました。この実験ではただの生理食塩水が入ったスプレーを投与し、片方のグループには「プラシーボ効果が起きると信じている場合、生理食塩水のスプレーが否定的な感情を軽減するのに役立つかもしれない」と事前に伝えうえで実験を進めました。もう片方のグループにはプラシーボ効果に関する効果や偽薬については一切伝えず「データをとるために必要なこと」とだけ説明し投与していました。

結果、「偽薬効果があるかもしれない」と伝えたグループは「データをとるだけ」と説明を受けたグループよりも、回答でも脳波測定でも精神的な苦痛が顕著に感じにくくなっていたとしています。

つまり、私達は「偽物であったとしても効果があるかもしれない」と思い込むことで、ただの水であっても効果が出てしまうということを証明したものになります。ちなみにこの偽薬効果は『同じ質』の薬でも発生しますが、同じ薬でも『値段の高い薬』と嘘を知らされることでより高い効果がでることも知られています。

偽薬効果については確かによい点もあるものの逆効果を与えるものもあります。つまり人体に対して本来は無害なものが有害と示してしまう例もあるということです。これは反偽薬効果、ノーシーボ効果と呼ばれており、例えば患者が副作用を強く恐れたり信じこむことでより強く出てしまうことがあるとしています。
また海外で電波塔を設置したところ電波塔の周辺で体調を崩す住民が多く現れ、「原因が電波塔にある」と企業にクレームが寄せられたことがありました。しかし、企業側の回答として電波塔は長らく電源すら入れられておらず全く運用していなかったことが明らかになり、周辺の住民がある種の反偽薬効果で症状を訴えていたという例もあります。(参考)