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先月下旬、韓国最北西部に位置する北朝鮮との洋上の境界で韓国から北朝鮮に渡った射殺されたという事件について、韓国軍が「762せよ」と射殺命令を傍受していたなどと説明しています。

韓国メディア毎日経済によると、野党『国民の力』の国会議員によると海洋水産部の公務員が越北したとする一連の事件について、韓国軍が当時北朝鮮が無線で発していた射殺命令を把握していたと4日明らかにしたと報じています。

주호영 "北, 사살명령인 `762 하라` 지시했다" - 매일경제

記事によると、この国会議員は国会で開かれた記者会見で「韓国軍の特殊情報として北朝鮮の上層部から『762せよ』は指示があった」と語りました。762せよとはいったい何なのか。この国会議員によると「これは北朝鮮軍が使用する7.62mm小銃を指す」と主張しており、「『762せよ』というのは射殺するよう明確な指示があったと見ることができる」と説明した。

また「私たち公務員が北朝鮮当局の射殺命令によって殺されたものの大統領府は射殺指示がなかったと主張している」とし「公務員が海上遭難最後に銃で撃たれ死体まで焼却されたが大統領府と政府・与党は、明確な証拠もなく越北者としたてあげ北朝鮮に一言すらまともなことを言えていない」と批判しました。



▼直径7.62mmの銃弾を使用するAK-47
AK-47

内容は以上なのですが、確かに7.62mmというのはソ連、ロシア、中国、北朝鮮など東側で多く運用されている小銃の口径で兵士が使用するAK-47シリーズ(カラシニコフ銃)がこの銃弾を使用しています。またこの例えは小銃で射殺しろとも言い換えた言葉のようも聞こえるものの、明確に射殺しろという表現だったとは言えません。

また北朝鮮が普段から「762mmせよ」などとわざわざ口径の数値を使い射殺命令を出したことはあるのか、過去にもそのようなことがあったのかも記載はされていません。

この国会議員は今回の内容を元に政治的に「大統領府(与党)は射殺指示がなかった」という主張に反論しています。しかし、大統領府は「北朝鮮の上層部が射殺を『直接指示』した無線内容は傍受できていない」という表現に留まっています。したがって「762mmせよ」は政府が主張しているように射殺を『直接』指示した表現にはなっていません。

またこの国会議員が明かした内容についてはどのような経緯で入手した情報なのか、例えば韓国軍が傍受した通信を直接耳にしていたものなのか、それとも文章で見たものなのかも不明です。そして「762せよ」という言葉が「7.62mmの小銃で射殺しろ」と解釈したのはいったい誰なのかも記載はされていません。