原子力潜水艦

韓国では数年前から「原子力潜水艦(原潜)を保有した」という主張が見られるようになりました。しかし、どう考えても割に合わないと考えられる原潜保有計画について、ソウル新聞がなぜ海軍が求めているのか解説した記事を紹介していきます。

ソウル新聞は2020年10月16日、「原子力潜水艦の導入の世論が高まっている」などとしなぜ韓国政府および海軍が原潜の保有を求めているのか解説するような記事を掲載しました。

記事によると賛成意見と反対意見が記載されているのですが、記事では冒頭に韓国が原潜を保有しなければならない理由として「北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイルを開発しており、これに対抗するために原子力潜水艦を開発しなければならない」など自ら賛成の立場で主張をはじめています。

[서울신문] [밀리터리 인사이드] 해군은 왜 핵잠수함 도입을 원하나

そもそも韓国における原子力潜水艦保有計画は最近活発化している北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイルが理由ではありません。これは2017年4月、つまり現在のムンジェイン大統領が大統領選候補者だった時代に「原潜保有の必要性」を口にしていたことが原点と考えられます。

ただ、この発言の裏には北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル開発が理由と考えられ、事実として北朝鮮は2015年5月に北極星1号という潜水艦発射弾道ミサイルを試射しており、2016年8月には7回目の試験が実施され500km飛行しています。


ソウル新聞の記事に戻るのですが、なぜ韓国は今も原潜の必要性を訴えているのかについては元海軍参謀総長が昨年発言した理由を挙げており「原子力潜水艦は(通常動力の潜水艦に比べ)長期間水中作戦が可能になり、北朝鮮SLBM搭載潜水艦を継続的に追跡して撃滅するために最も有用であると見ている」と説明してます。

記事によると多くのメディアが伝えているのは「このような表面の目的だけ」とし、もっと具体的になぜ原潜なのかの説明をしようとしているとしています。
それによると、韓国海洋戦略研究所学会誌に記載されたレポートとして原子力潜水艦は通常動力潜水艦よりも深く潜ることができ、潜航能力の点からも有用性が高いと主張。別の報告書では潜水艦内部についても動力が占める割合が33%と通常動力の50%と小さく、武装や食料をより多く搭載できると説明しています。他にも騒音が少ないことなども理由に挙げています。

ただ反対の理由としては原子力潜水艦を導入した場合、北朝鮮以外もロシア、中国、そして日本からも摩擦が深刻化するという見かたもあるといいます。そして、原潜を韓国の狭い海域で運用する必要があるのかという声も紹介しています。


以上が当該記事の要約になるのですが、韓国における原潜保有論については当然アメリカの承諾無し(特に燃料や技術面)には不可能であることはいくつのメディアが指摘しています。個人的に思うのは、明らかに北朝鮮の劣った潜水艦に対抗するためなぜ原子力潜水艦を保有する必要があるのかという疑問に答えていないことです。

原子力潜水艦は現在敵の潜水艦や艦艇といった水中、水上攻撃、またトマホークを使用し陸上も攻撃可能な攻撃型原子力潜水艦(バージニア級原子力潜水艦)、そして弾道ミサイルによる核攻撃を主任務としたタイプが存在しています。記事を読む限りでは、韓国は前者の弾道ミサイル非搭載型の攻撃型原子力潜水艦を保有したいという見かたができます。

確かに通常動力潜水艦よりも原子力潜水艦の方が優れた点は多いものの、一方で北朝鮮に対して原子力潜水艦を当てるにはオーバースペックとも言えます。したがって韓国は北朝鮮も含め実際はそれ以外の中国やロシア、当然過去の発言からも日本を攻撃目標した戦力を確保したいと考えていることはほぼ確実です。いずれにしても対北朝鮮に対応するという戦力であれば最新の通常動力潜水艦であれば十分であり、運用面でも問題がでそうな原子力潜水艦でなければならないという理由は有りません。
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