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今月19~20日、中国の武漢で開催された中国国際商業航空宇宙フォーラム(CCAF 2020)でChinaAerospace Science and IndustryCorp(CASIC)が2025年にも初の軌道飛行を目指すというスペースプレーン『神竜』を発表しました。

ロシアの軍事系ニュースサイト『軍事レビュー』によると、発表されたのはChinaAerospace Science and IndustryCorpが2016年に発表されたもので、その後新しい再利用可能な宇宙船システムの開発に取り組んでいることが報告されていました。当時の計画では開発に10年以上、初飛行は2030年を予定していました。

Будущее китайского космоса: многоразовая система «Тэнъюнь»

2017年10月に独自の再使用可能な宇宙船つまりスペースプレーンの初打ち上げを近い将来実施する予定と発表。2020年にも完成を目指してており、具体的な用途や性能などは公開されませんでした。この機体は2018年になるとCASICにより詳細が発表され、プロジェクトは初期段階で開発を終えるには数年の時間がかかると発表。神龍の目標としては人を乗せて軌道に達し再び地球に戻ることができる航空宇宙システムだと発表します。

▼スペースプレーンを抱えて飛ぶ超音速と考えられる機体
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2018年秋になると再使用可能なシステムに関連する実験に成功したと発表。この実験は風洞内で模型を使用した実験でスペースプレーンと母機の空中での切り離しに関するもので、切り離しの際に急激な気流の変化で事故に繋がる可能性に関して有効な航空機分離システムの開発に成功したとしています。

そして2020年9月に、中国では実験的な再使用可能な宇宙船が打ち上げられます。天飛計画については設計がまだ終わっておらず2030年頃の初飛行が予想されていたものの現在は2025年になっているとのことです。

▼スペースプレーン切り離し前の画像。雲の高さから考えて高度は10~20km程度と考えられる。
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神龍の打ち上げについては母機を使用します。この母機については見た目の形状からいわゆる超音速機になると考えられマッハ1を遥かに超える速度で飛行し、上空で神竜を切り離し。天飛のロケットモーターによりそのまま宇宙を目指します。

これにより母機がロケットの第一段目の役割を果たすことで効率的に神龍を宇宙に送り込むことができ、神龍についても本体は滑走路に着陸するためほぼ全てを再整備することで再利用することが可能となります。

神竜については2020年9月4日に酒泉衛星発射センターから長征2号Fロケットを用いて打ち上げられ2日間地球を周回し6日に着陸したと中国政府が正式に発表したと報じています。到達高度は地上350kmとされています。