プシケ

10の19乗ドルというよくわからない数値が出ているのは、今から150年以上前の1852年に発見された小惑星『プシケ』です。実はこの小惑星、一般的な岩石やチリで構成されているのではなく金属のみで構成されていることは予想されてたいのですが、最新の研究では桁違いの価値が明らかになりました。

アメリカの民間宇宙探査研究機関『サウスウエスト研究所(SWRI)』は火星と木星のアステロイド(小惑星帯)を公転している小惑星に関して氷や岩石ではなく莫大な価値のある鉱物で構成されているという点を発見したと発表しました。

この論文は惑星科学誌に掲載され2020年10月30日に報じられていたのですが、その内容によると首席研究員によると「金属の隕石が地球で発見されたりするが、プシケは完全に鉄とニッケルでのみ作られた点で独特である」と述べています。

今回の観測あたってはハッブル宇宙望遠鏡を用いて紫外線波長を分析した結果、太陽風による酸化作用を発見し最終的に当初から予想されていた鉱物の塊であるという結論を下したとしています。


金属でのみ構成され小惑星はこれまで発見されておらずどのように誕生したのかについて首席研究員によると「地球は中心部が金属コア、マントル、その外側を地殻で構成されているが、プシケは惑星形成段階で他の天体と衝突したことでマントルと地殻を失い金属コアのみ残った可能性がある」と推定しています。

プシケは火星と木星の間にある小惑星帯の中では13番目に大きい直径253kmの巨大な小惑星です。SWRIが推算する価値については1ドルの10の19乗ドル、日本円では約1垓円というよくわからない価値になるとのこと。この額については2019年時点における地球全体のGDPの7万倍に相当するとしています。

非常に価値のある天体だということが分かったのですが実際にそれだけの価値があるのかについてはそうでもありません。現在の技術ではプシケに行き採掘し鉱物を持ち帰ることがほぼ不可能なためです。仮に持ち帰ることができたとしてもロケットの打ち上げコスト、探査機や採掘機の開発・製造コストを考えれば100kgにも満たない量を持ち帰るだけで1回持ち帰るだけで100億円近い費用がかかるためです。

プシケ_1

NASAは現在プシケに探査機『サイキ(プシケ)』を送り込む計画を進めており予定では2022年8月にも地球を飛び立つ予定です。

Source:https://www.hankyung.com/international/article/202010319174Y