
日本政府によると、アメリカが主体となり将来の有人月面、火星着陸を実施する拠点となる月軌道上の宇宙ステーション『ゲートウェイ』に関して、NASAと覚書を交わしたとして正式に参画することとなったと報じられています。
令和2年12月31日、「民生用月周回有人拠点のための協力に関する日本国政府とアメリカ合衆国航空宇宙局との間の了解覚書」が、我が国と米国の間で効力を生ずることとなりました。アメリカ側と交わした了解覚書はこちらで閲覧することができます。以前、日本はゲートウェイに搭載するモジュールの製造を行なうというような構想があったのですが、今回の覚書ではモジュールの製造は行わず日本側が開発するのは『居住の能力に係る基盤的機能』と『物資補給』にとどまりました。
1.この了解覚書は、米国が国際協力による整備を構想している月周回軌道上の有人拠点(ゲートウェイ)に関する協力を実施するための国際約束です。
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外務省
▼ゲートウェイの全体像

居住の能力に係る基盤的機能については国際居住モジュール「I-Hab」というものが接続されるので環境制御や生命維持、バッテリー、熱制御などを提供します。さらにHALOという別のモジュールについてもバッテリーを提供するとのこと。
▼HTV-X

物資補給については現在国際宇宙ステーションに物資補給を行っているHTVの発展型となるHTV-Xを運用します。ただ、HTV-Xに関しては現在日本が開発または開発中のH-3ロケットで単体で月軌道に送り込むことは不可能です。そのため、1機のロケットでHTV-Xを打ち上げ、もう1機打ち上げHTV-Xとドッキングし月軌道に送り込むという方法が採用されるとしています。
また過去にはアメリカのスペースXが運用するファルコンヘビーという巨大ロケットで打ち上げるという構想も出されていたことがあります。何れにしてもHTV-Xの月軌道への打ち上げは国際宇宙ステーションのように頻繁に行われるものではないため、専用の新しいロケットを開発するというのは費用対効果からみても現実的な案とは考えられません。
JAXAとしては将来的に日本人宇宙飛行士の月面着陸を行いたいという意志を以前から示しており、今回の参画で行える可能性が高まったということになります。ただ、いつになるのかはゲートウェイの建造どころかゲートウェイに人を輸送するオリオン宇宙船の開発もまだ終わっておらず、延期が続いている段階で状況であり規模の縮小なども考慮すると楽観視できないと考えられます。