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動植物体を構成している物質『有機物』。この非常に重要な物質に関して横浜国立大学や九州大学、イギリスやアメリカなどの共同研究チームは今から10年前に小惑星イトカワから持ち帰った試料から生命に必要不可欠な有機物を発見したと発表しました。

ScientificReportsに掲載された論文によると、国際研究チームは2010年にJAXAが世界初となる小惑星サンプルリターンミッション『はやぶさ』で地球に持ち帰った小惑星『イトカワ』の粒子の1つを分析した結果、『S型小惑星』と呼ばれるカテゴリの天体から地球上の生命に不可欠な有機物質の最初の証拠を発見することに成功したと発表しました。

Organic matter and water from asteroid Itokawa | Scientific Reports

小惑星に由来する有機物質が、水や他の供給源からの有機物を取り込んだ極端な条件を通じて、時間の経過とともに進化してきたことを発見したといい、これは自体が地球上で起こったプロセスに似ているものであり、地球の生化学の最も初期の形態の多くが実は小惑星内で起こっている化学の延長である可能性が高いことが示されたといいます。

▼極小のサンプルによる調査
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何を言っているのか一般人には理解できかねるのですが、これを報じた記事によると、地球上に今も飛来する隕石は実はイトカワを構成するようなS型小惑星が多いといい、今から数十億年前の地球に降り注いだこのような小惑星がシアン化物、アミノ酸の分子を小惑星に大量に含まれる水と共に落下。それらを地球にもたらしたことはもはや明白だと主張されています。


一般的な地球に落下する隕石の場合、その化学的性質が地球そのものによって汚染されている可能性が高く、分析結果には疑問の余地があります。一方で、はやぶさが10年前に戻って以来、ペイロードから取り出された900個以上の原始的な小惑星物質が分離され、JAXAのクリーンルームに厳重に保管されています。有機化学の兆候について研究されたのは10未満ですが、やはりそれらはすべて主に炭素で構成された分子(有機物)を含んでいることがわかりました。

一方、最近地球に戻ってきたはやぶさ2ではS型小惑星ではなくC型小惑星のサンプルを回収していたといい、このS型とC型のサンプルを比較分析することで宇宙における有機化合物がどのように進化したのか更に詳細にわかってくるだろうとしています。