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様々な理由で異なる出産となり子供に何らかの障害がでるのではないかと心配してしまいますが、最新の研究として、体外受精で未熟児で生まれた子供について認知機能の発達などは全く問題が無いどころかむしろ高いことが初めて分かったと発表されています。

これはInternational Journal of Epidemiologyに発表された論文で、ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドンが行ったもので、IVF治療(体外受精)、人工授精、排卵誘発、など医学的生殖補助医療(MAR)と出生時体重、認知発達との関連を調べた最初の研究となったとしています。

Being Born Small Doesn’t Tend to Disadvantage IVF Babies’ Cognitive Development - Neuroscience News

このような経緯で妊娠し仮に体重が2.5kg(5.5ポンド)未満の小さな子供が生まれた場合についても、通常の妊娠した子供たちと同じように、子供たちの認知発達が低下するなどの傾向がないことが示されたとしています。
著者によると、医学的生殖補助医療で生まれた子供たちは、多くの財政的および教育的資源を提供が受けられており、小さく生まれることの悪影響を補うことができるほどの『良い家庭』から生まれてくること理由があると説明しています。

どういうことなのか。2000~02年に生まれてからミレニアムコホート研究(MCS)に参加している19,000人以上の子供たちの全国的な代表グループから収集されたデータを分析しました。分析では子供たちを4つのグループに分けました。

小さい生まれの医学的生殖補助医療(MAR)の子供
普通の体重のMARの子供
小さく生まれた自然に妊娠した子供
普通の体重の自然に妊娠した子供
の4つです。

次に子供の認知発達を調べるために、3、5、7、11、14歳の4つのグループの認知テストスコアをそれぞれ比較しました。 

結果、すべての年齢で小さく生まれた医学的生殖補助医療(MAR)の子供の認知評価は、平均して正常な出生時体重である自然に妊娠した子供、つまり普通に生まれてきた平均的な子よりも同等かそれ以上の認知評価を得ていたことがわかりあました。

具体的には5歳でスコアが高くなるのですが、3、7、11、14歳でパフォーマンスに差はありませんでした。さらに、7歳までは特に小さく生まれたMARの子供は、自然妊娠した低出生体重の子供よりも高いスコアを獲得していたとのことです。

なぜこのような結果になったのか、最大の理由は親にあります。社会経済的背景が妊娠した子供の認知的利点を説明する重要な要因であることを示唆していると研究者は主張しています。

人工授精など医学的生殖補助医療(MAR)で生まれた子供は一般的に自然に妊娠した子供よりも小さく生まれる可能性がはるかに高かったものの、一方で自然妊娠した親よりも裕福であり、かつ教育水準の高い親を持つ可能性が高かったとしています。

これは特に親の学習への関与が鍵となる幼児期により多くの財政的および教育的資源を利用することができることにより、仮に低出生体重で生まれることで子供の認知発達に負の関連があったとしてもこれに対抗できるほどの可能性があることが高いとしています。

つまりどのような場合で出産したとしても、幼い頃の子供の教育がその子への認知機能を強化することに繋がるということになりそうです。

*抄訳したものを掲載しています