image_11

アメリカ国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)は2025年までに宇宙で運用可能な核熱推進(NTP)システムを搭載したロケットを軌道に乗せる計画を発表しました。

C4ISRNETによると、今月12日 国防高等研究計画局(DARPA)は2025年に地球低軌道で動作する核熱推進システムを開発するため3社を選定したと報じています。

DARPA chooses three firms to design nuclear-powered space vehicle
DARPA nuclear spacecraft Lockheed, Bezos' Blue Origin, General Atomics

選定されたゼネラル・アトミックスは核熱推進(NTP)システムのリアクターと推進サブシステムの予備設計を担当し、ブルー・オリジンとロッキード・マーティンは別々に『運用システムの宇宙船コンセプト』と『実証システムの宇宙船コンセプト』の2つを設計します。実証システムは運用システムのコンセプトから続くものとなるのですが、あくまでNTP推進サブシステムの実証に特化したものになるとしています。

今回の3社の契約締結については原子力推進システムを搭載する宇宙ロケットの設計製造の第1段階となるものだとしており、Demonstration Rocket for Agile Cislunar Operations(DRACO)プログラムは第1段階を2022年後半までに終了し、以降第2段階に進む予定です。

DRACOの空軍プログラム・マネージャーによると、「開発・実証しようとしているNTP技術は、将来の宇宙での活動の基盤となることを目指しています」と話しています。



核熱推進、原子力推進は新しい技術ではなく、第2次世界大戦終結後から10年もしないうちにアメリカは化学燃料ロケットではない原子力ロケットエンジンの研究を始めています。その後、試作機が開発されたのは「NERVA(ナーヴァ Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application)NRX/EST」と呼ばれるものです。



原子力推進最大の特徴はその推力効率のの高さです。従来の液体酸素と液体水素などの燃焼させる化学ロケットよりも高い推力重量比があるため、大出力エンジンを備えることで宇宙船そのものの速度をあげることができます。



今後、アメリカが目指す有人火星探査計画では現時点では化学ロケットではなく原子力推進を使用する可能性が高まっており、これによりミッション期間を削減することができ宇宙飛行士が浴びる宇宙放射線被爆を下げることができ、食料や水などの量も削減することができるため探査に必要なコストも削減することができるという利点があります。