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2024年頃に再度有人月面着陸を行うとしているアメリカ。日本のJAXAもかなり興味を示しており日本人初の月面着陸の機会も伺っているのですが、この月面着陸を成功させる着陸船に関して、NASAはスペースXのスターシップの派生型を選定し、JAXAの予算の約2年分となる29億ドルという巨額の契約を結んだと報じられています。

NASAによると、2024年にも実施するという(ほぼ延期は確実と考えられる)有人月面着陸に向けて、その着陸船の開発を行う企業として今回選定されたスペースX以外にもナショナルチームとなるアマゾンでおなじみのブルー・オリジン、ロッキード・マーティン、ノースロップ・グラマン、ドレイパーが開発を分担するチーム。そしてダイネティクスの3つの案がありました。

NASA picks SpaceX's Starship to land Artermis astronauts on the moon | Space

この状況を見ると、この選定は出来レースで「ヤバイ軍需企業メンツが揃っているナショナルチームが選ばれるだろう」と誰もが思っていたと考えられるのですが、なんとスペースXがヤバイ系メンツを差し置いて着陸船に選定されるという「夢でも見ているのか」レベルの結果になりました。

▼左から選定されたスペースXのスターシップ案、ダイネティクス案、ナショナルチーム案。これを見てもいかに巨大なものか一目瞭然。
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NASAによると、すでに計画は動き出しているといい、論外だったダイネティスク案やナショナルチーム案を代替案などとして開発はしないとしており、スペースX一本で行くという趣旨の説明をしています。

この月面着陸はアルテミス計画というNASAが主導する将来的に火星への有人探査を含む計画の大きな柱になっています。具体的な有人月面着陸については4人の宇宙飛行士がNASAのSLSで打ち上げられるオリオン宇宙船で発進。2人がスターシップの派生型に乗り換え月面に着陸。月に1週間あまり滞在した後離陸。オリオン宇宙船に乗り込み4人で帰還します。

▼スペースXによる最新の月面着陸船デザイン
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なぜスペースXが選定されたのか

これに関して記事を読む限りでは限りあるNASAの予算の中でナショナルチーム、ダイネティスクよりも大幅に下回る価格を提示していたといい、その予算内に収まるよう費用を変更し今回契約を結ぶことになったとのこと。

お金の問題以外にもスペースXの高い技術力に理由があります。そもそもナショナルチームもダイネティスクも自前のロケットというものを持っておらず、着陸船を打ち上げるにも結局スペースXのファルコン・ヘビーやNASAの巨大ロケットを使うことになり別の費用が生じることになります。そこでスペースXに任せればロケットも自前で打ち上げることができるので無駄な費用がかかりません。

またスペースXはアルテミス計画で月軌道に宇宙ステーションのモジュールを打ち上げることになっています。そのため、NASAとのやり取りなどを一本化したかったのではないかという印象を受けます。

米軍もスペースXのスターシップには興味を示しているという内容が一部で報じられており、今後、躍進が100%確定となっている同社に開発を促したいという理由もあるのではないかと思われます。

いずれにしても民間宇宙開発企業として草分け的存在で、どの企業よりも数歩先を行っている高い技術はNASAも認めています。スペースXはロケットの打ち上げ分野では実績・技術も世界トップといっても過言ではなく飛び抜けた一流企業となっています。

そして最後に『見栄』です。これは私個人の印象になるのですが、ナショナルチーム、ダイネティスク案もアポロ計画時代の着陸船よりも一回りほど大きいサイズで代わり映えしないという印象がありました。一方でスペースXのスターシップは遥かに大型で、形状は異なるもののスペースプレーンという印象があり、見た目のインパクがかなり大きいです。
そのため、予想では中国やロシアが今後実施してくると考えられる月着陸船よりも巨大なものを見せつけることで、納税者関心と支持も維持しやすいのではないかと考えれます。
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