image_83

強力なパンチを繰り出すことで相手を文字通り撲殺する変わった生き物シャコ。そのため主な狩り道具、牙やハサミではなく、腕ということになるのですが、このパンチは生後いつから使えるようになるのでしょうか。最新の研究でそれが明らかになりました。

この研究はアメリカのデューク大学やハワイ大学の生物学者らより行われたもので、先月29日にジャーナルに掲載されたばかりのものです。

Baby Mantis Shrimp Can Throw Knockout Punches at Just 9 Days Old
Scaling and development of elastic mechanisms: the tiny strikes of larval mantis shrimp | Journal of Experimental Biology | The Company of Biologists

研究内容はタイトル通り、シャコはいつからあのパンチができるようになるのかという研究です。チームは卵からかえった同じ種のシャコを調査し、生まれた時からの時間経過を正確に測定、更に注意深くその動作を顕微鏡を用いて観察しました。

つまり生まれてからいつの時点で初のシャコパンチを行うのか観察するというあまりに難しく地味すぎる研究なのですが、実はこれまでこのような研究を行った人は誰一人おらずよく分かっていなかったとのこと。

初めてのシャコパンチは生後1~2週間以内

その結果、今回の観察では生まれてから最短で9日目で始める個体が確認できたとのこと。ただ、これにもやはり差があるらしく14日目くらいにはほとんどの個体が生まれてから初めてのシャコパンチをするとのこと。

研究者によると、この時点でのシャコの大きさはだいたい米粒ほどだといい、パンチの速度は1.4km/hとかなり遅いものでした。大人のシャコパンチは80km/h以上とされており、流石にその速度はでなかったようです。

この理由については腕のサイズと水の抵抗が原因の可能性があるといい、このような子供にとって水は蜂蜜のようなドロドロに感じているかもしれないと話しています。

それにしても、生まれくる時点で異常なほどの巨大な腕を持っているというのは驚きです。



ちなみにシャコを覆う殻については人類が航空機等に用いる炭素繊維とエポキシ樹脂を組み合わから作られる炭素繊維複合材の強度を超えていることが明らかになっているのですが、シャコの殻と人間が作り出した炭素繊維複合材の構造が偶然にも一致しているという面白い研究も発表されています。