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車や電車、また人も動いてますが、その速度は想像できるレベルです。では私達人類が作り出した人工物の中で最速の物体はいったいどのくらいの速度を出しているのでしょうか。

人類が作り出したものの中で少なくとも世界記録を持っているものは地球上ではなく宇宙に存在しています。人間が肉眼で直接観測できるもののとして最速の部類に入るのは国際宇宙ステーションです。十数秒で頭の上を通過していくという様子が地上からも確認できます。

ではその国際宇宙ステーションはどのくらいの速度なのか。目安としては平均で28,000km/hです。この速度で1日に地球を16周しています。今回紹介する人類最速の人工物の速度はタイトルでも紹介したように532,000km/h。国際宇宙ステーションが止まって見える速度なのですが、いったい何なのか。

それは太陽探査機『パーカー・ソーラー・プローブ』です。
この探査機は2018年に打ち上げられた探査機で太陽の外部コロナの観測を行っています。特徴しては太陽表面から8.86太陽半径、距離にして(0.04天文単位(1天文単位は地球と太陽の距離)、590万km)に接近するというものです。
パーカー・ソーラー・プローブはまるで彗星のように太陽に接近。何度も繰り返すことでデータを収集します。




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こちらのグラフはちょっと分かりのくいのですが、パーカー・ソーラー・プローブの速度などを表したものです。見てほしいのはオレンジ色の線。これは速度を表したもので単位は1秒間に何km移動するのかです。532,000km/hを記録したのは『⑧』の時になります。

グラフを見ても分かるようにパーカー・ソーラー・プローブの速度は更に早くなります。現在は秒速約150kmという、もはや意味不明な速度になっているのですが、2023年、24年、25年と速度を上げ、最終的には秒速170kmまで加速します。

▼パーカー・ソーラー・プローブの軌道(緑)、徐々に太陽に近づき速度もあがる
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パーカー・ソーラー・プローブは今後太陽に最接近することで更に加熱されます。同探査機は太陽風というGPS、衛星、送電網に破壊的な影響を与える可能性のある現象を理解するため打ち上げられたもので、他にもこの太陽がどのようにして地球に生命をもたらしたのか、などの研究にも使用されます。