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地上で暮らす人間は仮に時計を見なくても太陽を見れば今何時なのか朝昼夜が分かります。しかし閉鎖された空間ではどうでしょうか。これに関して、アメリカの原子力潜水艦で体内時計が狂うことによる睡眠障害の改善に向けた特殊なメガネの研究結果が報告され、かなり良好だったと発表されています。

海軍潜水艦医療研究所の心理学者らが研究チームは2020年1月、バージニア級原子力潜水艦バーモントの乗組員、42人を対象に個人用光治療器(PLTD)というメガネのようにして使う装置を付け、睡眠のリズムを整える研究に参加しました。

Navy submariners test out their own version of ‘birth control glasses’

その結果、研究は大成功し研究期間終了後も多くの乗組員らがメガネをかけつずけることを希望したとのことです。

本研究の主任研究者によると、「この眼鏡は安価で邪魔にならず、潜水艦内に体内時計のズレに対する効果的な対策であることが証明された場合、米海軍は乗組員のパフォーマンスを維持し、気分を高め、さらには健康を改善するために必要な休息と睡眠を得るための選択肢が1つ増えることになります」と説明しています。

潜水艦といえば窓などは基本的に付いておらず、太陽の光を浴びるようなことはできません。そして潜水艦の乗組員はシフト制で24時間運用されています。そして、潜水艦内は常に照明がつけられています。

問題はこのような潜水艦の環境以外にもあり、地上で暮らす私たちの多くがそうであるように、乗組員は寝る前に寝床で携帯電話やパソコンを使ってリラックスしています。問題は、これらの機器から発せられる光が人間の睡眠を助ける酵素が分泌されてしまうことです。これにより乗組員は眠りにつくまでに時間がかかり、睡眠を維持し続けることが難しくなると論文では説明しています。


睡眠不足による体内時計のズレは、その乗組員のパフォーマンスの低下、衝動性、さらに健康への影響をもたらし、原潜のような27億ドルもする超高価な潜水艦では、危険でコストのかかる問題を起こす可能性が高まります。
研究者によると、今回の研究の目的としては「個人用光治療器(PLTD)を使って光、を浴びる時間を適切に調整することで乗組員らの体内時計を維持し役立つかどうかを調べること」にありました。

メガネを装着した被験者、メガネを装着しない被験者は全員が睡眠とその日の気分の調査を受け、手首には睡眠の質を機械的に測定するトラッカーを装着しました。 また、この研究ではアンケートでは難しい体調を調査するため唾液サンプルを採取し科学的に体内時計のリズムマーカーを収集。更にタブレット端末を用いたゲームを使うことで被験者それぞれの認知能力を測定しました。

この研究については当時、乗組員らがむしろ夢中になって参加していたと発表しています。それによると乗組員らは、個人用の光治療器を使って個人のニーズに合わせて睡眠スケジュールを調整できることは、乗組員全員に1つの睡眠スケジュールに合わせるよりも遥かに良いと考えたためだとしています。そして、今回メガネをかけた被験者は圧倒的に「目覚め」が良くなったと報告しているとのこと。

この研究では原潜がアメリカからブラジルに向かうまでの期間で行われたおの、乗組員の大半が帰国までメガネを使いたいと希望していたと説明しています。論文では乗組員ら希望に応じられたのか、使用の許可が出たのかはまでは記載はされていないものの、海軍はこの研究に注目するだろと指摘しています。

ちなみに、潜水艦以外でも巨大な空母でも乗組員の多くが艦内で生活している他、空軍の弾道ミサイルの任務についている若い兵士も地上60~80フィート下でシフトをこなしていること。多くの特殊作戦部隊の隊員らも任務中は夜行性の睡眠スケジュールを採用しており、このような場合でも個人用の光治療器は有効ではないかと指摘されています。