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私達、日本人であれば多くの人が毎日風呂に入ると思うのですが、それがシャワーだけなのか湯船につかるのか、時間等も人それぞれ。今回の紹介する研究は、わざわざ辛い運動をしなくても熱い湯船に浸かったりサウナに入ることで心疾患リスクが50%も減少していることが分かったというものです。

今回紹介する研究内容はかなりの長文となっているのですが、研究を行ったのはコベントリー大学でスポーツやエクササイズ、他には高齢者の研究や運動、そして今回のテーマとなる温熱療法を調査している人物です。

今回彼が発見したのは、冒頭でも紹介したように熱い湯船に浸かったりサウナに入ることが健康上に有効だという証拠がいくつもあるというものです。

A Scientist Explains How a Hot Bath Delivers Some of The Same Effects as Exercise

現代人の多くが電車や車を使う一方で、運動については自らの意思でそれを行う必要があります。これは辛く時間がかかるもので長続きが難しいという未解決の問題があります。ではお風呂やサウナはどうか。これは毎日行えるもので運動よりも辛いものではありません。

といはいえ、これまでお風呂やサウナに入ることによる健康への利点は非科学的、つまり嘘だと言われ続けていました。ただ、この研究者はこれまで専門的に調査した結果そうではないと主張しています。

彼によると「服を脱ぎ、見知らぬ人の近くで入浴したり汗を流したりすることは万人に共通することではないかもしれませんが、サウナや温浴が日常生活に組み込まれている国では一般の人々がその恩恵を受けているようだ」と説明しています。

具体的には「長期観察研究では、フィンランドの中年男性を対象にサウナの入浴頻度が致命的な心血管疾患のリスクの低下と関連していることが判明しました。週に4~7回サウナに入る人は、週に1回行った人に比べて致命的な心血管疾患のリスクが驚くほど50%減少しました」と説明しています。
また日本の研究者も習慣的な熱い湯船に浸かる頻度が高いほど致命的および非致命的な心血管のイベントに対して有効であることが示されているとのこと。


なぜお風呂に入ることでこのような心疾患リスクが低減するのか。超音波スキャンで測定すると人間は熱に晒されることで血流が上昇し、細胞の成長、修復、血管の保護を助ける血液中のさまざまな成分の生成も促進しているとのこと。
またサウナよりも入浴が良い理由は水圧が加わることで血液を心臓に戻すことに役立っているといい、証明はされていないもののサウナよりかは効果的になる可能性があるとしています。

他にも入浴やサウナは入院患者数の減少、2型糖尿病の血糖値低下、空腹時血糖値、総コレステロール 、慢性的な低悪性度の炎症など、心血管疾患のリスク関連に有効であるとしているとも説明されています。

現時点で例えば運動をしなくても熱い風呂に入ったりすればいいというものではなく、あくまで運動が長続きしなかったり運動ができない場合の健康リスク低減に有効な選択肢であることが示されているとしています。

ちなみにフィンランド人はサウナを別名で「貧乏人の薬局」などと呼んでいるそうです。日本では温泉に浸かることで病気を治すことを「湯治」と呼んでおり、お風呂やサウナに健康を保つというのは科学的な根拠や理屈がどうであれ、自らの体で効果を感じていたのではないかと思われます。