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目が不自由な方が口からチッチッチッと音を出して空間を認識しているという映像をテレビ等で見たことがある人も多いと思うのですが、この反響定位(エコーロケーション)という方法について私達一般人でもトレーニングを行えば10週間程度で習得できるようになるそうです。

暗闇を移動することができるコウモリなどは超音波を出しその反響した音で空間や餌を摂っているとされています。実はこのような反響定位は人間も行うことができ、見出しでも紹介したように視覚障害者の中には自身の舌を利用し、返ってくる音を察知し空間や障害物を探ることができます。



カナダ、モントリオール大学が行った研究では幼少期に法的に盲目であると診断された12人、14人の目が見える人が被験者になり約2~3時間、20回のトレーニングセッションを行った結果、老若男女を問わず、視覚障害のある参加者と目の見える参加者全員が反響定位ができるようになったとしています。
参加者は数週間にわたって、仮想の迷路 (T 字型交差点、U 字型、ジグザグ型に配置された廊下) に入り反響定位を使用してオブジェクトのサイズと方向を特定するように訓練されました。

最後の2つのセッションでは、参加者はこれまで取り組んだことのない仮想の迷路で新しいナビゲーションスキルをテストしました。この未知の環境でも壁との衝突はプログラムの開始時よりも少なくなったとのこと。このような研究から反響定位は人々が以前よりも容易に迷路を移動することに役立ったとしています。


また実験終了後3ヶ月後に視覚障害者がある方に反響定位に関してアンケートをとったところ、反響定位を行うことで移動性が向上したと回答しており、実験に参加した12人中10人が反響定位が自身の自立と幸せに役立ったと回答しているとのこと。

ちなみに今回の研究では反響定位の差は年齢の差などは見られなかったといい79歳の目が不自由な方が反響定位を習得することができたとしています。