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アメリカ海軍によると現地時間6月4日、史上初めて無人機と有人機による空中給油試験を実施し成功したと発表しました。今回使用された機体は空母で運用を予定している無人ステルス空中給油機『MQ-25』とF/A-18EFスーパーホーネットです。

Defence NEWSによると、今回の試験は地上から発進した機体により試験されたもので、無人ステルス空中給油機 MQ-25 スティングレイはイリノイ州マスクータのミッドアメリカ空港から離陸。その後、空中でF/A-18EFスーパーホーネットに対して、空中給油を成功させました。

US Navy, Boeing conduct first-ever aerial refueling with unmanned tanker
Navy, Boeing Make Aviation History with MQ-25 Becoming the First Unmanned Aircraft to Refuel Another Aircraft

成功を受けて米海軍は「今回の飛行は、空母での運用に向けた基礎となるものであり、有人無人編成の概念に向けた能力向上を可能にするものです。MQ-25は将来の空母航空団の航続距離、飛行時間を大幅に向上させるのに役立つだろう」という趣旨の説明をしています。

MQ-25はボーイングが開発した史上初の艦上無人ステルス空中給油機で、今回の試験を受けてMQ-25のプログラム・マネージャーはこのように語っています。
「試験中にスーパーホーネットはMQ-25 試験機に近づき20フィート以内で測定を実施しました」とのこと。なぜこのような観察が必要だったのかについては「まず無人機がどの程度安定して飛行できているのかの観察と評価が必要だった」といい、要は「日頃から空中給油を繰り返す、パイロット自身の目で空中給油を行える状況なのか。実際に空中給油をおこなっても衝突などのリスクは無いのか『自信』をもたせるひとが非常に重要だった」といいます。

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記事によると、その後、MQ-25の翼に搭載された給油ポッドから伸びるホースと接続を行ったものの燃料補給までは行わなかったといいます。そして一度接続を切り離し、再度ホースと接続。このときに初めてMQ-25から給油を受けたといいます。補給を受けた燃料は300ポンドで高度約10000フィートで実施したといいます。

そして高度16000フィートに上昇し、25ポンドの給油を行ったほか、給油手順の確認のためホースとの接続を何度か繰り返したとしています。


一連の飛行時間は約4時間、給油試験や実際に給油を受けたことによる接続状態での飛行は10分以上行われ合計の給油量は325ポンドとなりました。アメリカ海軍としては今回行った一連の試験を再評価し、必要なソフトウェアのアップデートを行い今後数ヶ月かけより本格的な試験を実施していくと発表しています。

また今回のテストはMQ-25は2019年行こう実施された25回の飛行テスト後に行われたとしています。

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無人給油とその意味

アメリカ海軍では戦闘機に対する空中給油は同じく艦載機で行われることもあるらしく、一例としてF/A-18EFスーパーホーネットに給油ポッドを搭載した空母航空団による燃料補給任務だけで同機の3分の1以上の飛行時間を締めているとのこと。

つまりこれを無人化することで機体の消耗や、パイロットの人員の削減、衝突時のリスク軽減なども行えるものと考えられます。

海軍によると今後の開発が順調に進んだ場合、2025年にも初期運用能力に達する見込みだと説明しています。