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最近注目されている月。その背景には今後行う宇宙開発が絡んでいます。アメリカを中心とした日本や欧州陣営は既に月面基地開発を行うことは発表していたものの、先日、これに対抗するように中国とロシアが共同で月面基地開発を行うと発表しました。

中国とロシアは、2026年に国際月科学研究ステーションの建設を開始し、2035年に完成させる予定。中国国家航天局(CNSA)の月探査プログラムの呉燕華副局長が、宇宙探査の国際会議「GLEX-2021」で発表した。

Sputnik
中国とロシアがそれぞれ月面基地開発を行う、または共同で行うという内容は過去にも報じられていたのですが、今回具体的なスケジュールが発表されたというものです。

スプートニクによると、両国は共同で2026年から2030年にかけ着陸技術や貨物輸送技術の向上、月の岩石サンプルの地球への輸送など2つのミッションを計画。技術を獲得したうえで、2031年から2035年にかけて、月の軌道上と月面にインフラを展開する予定としています。

『月の軌道上のインフラ』とは何を指すのか。アメリカを中心としたゲートウェイと同じような小型宇宙ステーションを月軌道上に展開するとも取れるの詳細は不明です。

記事では『中国とロシアは、国際的で科学的な月面基地を建設するための準備段階として、6つのミッションの実施を計画している。今回の発表によると、両国は、それぞれミッションを3つずつ行う』としており、2026年から2030年にこれが行われると考えられます。

中国、ロシアの月面基地 国際科学ステーション(MNLS)

中国とロシアが建設するという月面基地は『国際科学ステーション(MNLS)』という名称で呼ばれています。これは月の探査と利用、月の観測、基礎研究、または多目的研究などを行う目的に建設されます。具体的には月面上もしくは軌道上に建設される実験研究施設複合体で、将来の人類の月面滞在を念頭においた長期の無人状態での使用技術を調べるなど、多面的な学術調査作業を行うために使われといれています。

西東の月面開発レース

現在ご存知の方も多いようにアメリカを中心にした欧米、日本などの西側、そして中国とロシアの東側による月面開発レースは既に始まっています。
技術面に関しては西側に力があると考えられます。特に西側が今後月面開発に使用するスペースXのスターシップは先進的で桁違いに強力なロケットであり、中国やロシアはこのような機体開発の発表は今のところ無いため月面に投入できる物資の量からしても圧倒的な開きがあります。



そして問題になるのはアポロ計画以降、次に有人月面着陸をどちらの陣営が先に行うかです。これも非常に重要になり、宇宙開発では数年単位で遅れが出て当たり前の西側ですが、一方で中国はスケジュールはきっちりと守る傾向があります。

表面上は『次の有人月面着陸をどちらが先にやるかは気にしていない』と考えられるのですが、その意識は常に持っていると考えられ、これにより開発が早まったり潤沢な予算が当てられるなど開発する側としては嬉しい競争は始まります。