私達人間が服用する様々な薬。当然その全てが体に吸収されるわけではなく、それ以外は体外に排出されます。これに関して人間が服用すく抗うつ剤が河川を汚染しておりそこに生息する生物、今回はザリガニがより大胆に行動するなどの悪影響がでていると報じられています。
人間の治療に使われる抗うつ剤は、川や水路に入れば水生動物にも影響を与える。6月15日付けで学術誌「Ecosphere」に掲載された論文によると、川で実際に観察される現実的な濃度の抗うつ剤シタロプラム(一般にセレクサの商品名で販売)にさらされたザリガニは、えさを探す時間が大幅に増え、身を隠している時間が減ったという。今回、河川の抗うつ剤汚染におけるザリガニを研究した内容を発表したのは米フロリダ大学の淡水生態学者リンゼイ・ライジンガー氏です。記事によると、今回の研究は実際に川にいるザリガニを観察したのではなく、実際の河川における抗うつ剤の濃度を研究室内で再現し、ザリガニに晒すということが行われたといいます。
NATIONAL GEOGRAPHIC
近年、河川における人体や家畜由来の薬物汚染については海外では報じられ始めたところであり、今回の研究についても自然を模した環境下(ただし研究室内)でザリガニと抗うつ剤についての調査を行った初めての試みだと評価しています。
研究結果を紹介すると、河川における実際のSSRI(世界で最も広く処方されている抗うつ剤である「選択的セロトニン再取り込み阻害剤」のこと)濃度に晒されたザリガニとそうでない比較対照群のザリガニが、エサのにおいにどれだけ早く反応するかを調べました。
結果、抗うつ剤に晒されたザリガニは、晒されていないザリガニよりも隠れ場から顔を覗かせるのが2倍早く、外に出てくるのは1分近く早く、またえさが置かれた部分に滞在した時間は3倍以上長いという明確な差があったといいます。
つまりザリガニの警戒心が明らかに薄れており、行動が大胆になっているというものです。今回の研究ではこの状態でザリガニの捕食者による研究は行わなかったものの、仮に大胆な行動をとるザリガニはは野生においては捕食者に食べられる可能性は当然高くなるだろうと科学者らは考えているとのこと。
問題なのは、河川における抗うつ剤成分で「ヒャッハー」とハイテンションになっているのはどうやらザリガニだけではない可能性があるという点です。当然、抗うつ剤に晒されたザリガニはそれを取り込んでおり、それを食べた野生動物に蓄積することでその野生動物もヒャッハーになる可能性があるとのこと。
記事によるとオーストリアで行われた研究では、ブラウントラウトとカモノハシは、抗うつ剤にさらされた生物を食べることによって人間が治療に使う量の半分を日々摂取している可能性があるという研究も伝えられているとしています。問題なのは、河川における抗うつ剤成分で「ヒャッハー」とハイテンションになっているのはどうやらザリガニだけではない可能性があるという点です。当然、抗うつ剤に晒されたザリガニはそれを取り込んでおり、それを食べた野生動物に蓄積することでその野生動物もヒャッハーになる可能性があるとのこと。
今回研究に用いられた抗うつ剤『SSRI』は2015~2018年の米国ではほぼ8人に1人が服用しているというよくわからない薬で気分、幸福感、不安などの調整を助ける神経伝達物質であるセロトニンのレベルを高めるとしています。
ちなみに韓国では河川に流れでた人間由来のてんかん治療薬の主成分であるガバペンチンが浄水処理過程で発生する『ガバペンチン-ニトリル』となり浄水処理過程をへて水道水に入り込んでいることが実際に確認されています。