M388

第二次世界大戦で初めて核兵器が誕生し、現在まで2度使用されています。一方で戦後、核兵器進化を遂げ最小クラスまで小さくなったのはこのM388 デイビー・クロケット、核無反動砲と呼ばれるものです。今回はこの兵器について画像を用いて紹介していきます。

これまで開発された兵器の中でも極めて稀で高威力の小型兵器といえば『M388 デイビー・クロケット』です。M388の弾頭には核が搭載されており、W54 Mod2が搭載されていました。

M388には砲弾ではなく『砲側』にM28とM29という2つのタイプがありました。具体的にはM28の砲身では2km、M29の砲身では4km飛びます。つまり無反動砲内の発射薬の量が異なるものの、飛ばす核弾頭自体は同じものを使用するということになります。
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M388の弾頭のサイズは非常に小さく、重量は34.5kgです。直径は27.9cm、全長78.7cmです。搭載されたW54 Mod2核弾頭は0.01キロトンから0.02キロトン、TNT換算で10トン、20トン相当を調整することができます。


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この兵器は局所的に使用する戦術核兵器のようなもので、運用方法としては集団でやってくる敵に対してこれを使用することで1発でまとめて破壊するというものです。

威力については炸裂した威力で破壊する以外も、強い放射線によるものがあり地点から半径150m以内に対して直ちに死亡するレベルの100シーベルトの放射線を与える他、400m離れた地点でも急性放射線障害がでるような6シーベルトの線量をあたえます。

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デメリットは射程が2~4kmしかなく敵の目前でそれを使用することになり使用した側にも被害が及ぶ可能性があります。運用方法としては設置したのち遠隔操作で発射。その後、塹壕などに身を隠すことで放射線の直撃を避けるような対応が取られていたとしています。

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もちろんこの兵器は試作だけされたようなものではなく、実際に2000発生産されており弾頭および発射装置は1961年~1971年にかけて主に西ドイツに駐留する米軍に配備されていました。
このように大量に生産されたこともあり模擬弾を搭載したM388の姿は今も博物館などに展示されています。

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参考