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社交的な人そうじゃない人、対人関係が得意な人そうでない人…様々なタイプがありますが、マウスを使った実験である種の腸内細菌がいないマウスは社交性が低くなるという研究結果が発表されているそうです。

米カリフォルニア大学などの生物学者らの研究によると、実験用のマウスを用いて腸内細菌がそのマウスの社交性にどう関係するのか調査した結果、腸内に乳酸菌の一種である「Enterococcus faecalis」(エンテロ コッカス・フェカリス)が存在しないマウスは社交性が低くなる事がわかったと発表しています。

Gut bacteria may 'talk' to the brain, mouse study suggests | Live Science

この実験では、無菌状態で育ったマウスとそうではないマウスを用いて、始めて顔合わせたところマウス流の挨拶をするものの、無菌状態で育ったマウスは途中で相手を嫌うように離れてしまったといいます。

この研究にあたって「そもそも乳酸菌がその個体の行動(ここでは社交性)に影響を与えるというのは信じられないことだ」と話しており、ただ実験を進める過程でほぼ間違いないことが分かったといいます。

いったい何がマウスの行動を左右させていたのか、今回社交性が悪かったマウスは無菌状態で育て、更に抗生物質による徹底的な無菌状態を保ったといいます。その後、環境に出ると直ちに無菌状態ではなくなるため1回だけ実験をする形で研究を進めました。

結果、無菌状態で育ったマウスはそうではないマウスに比べ、相手を避けるような行動をとることがわかったといいます。

その後、原因を探るためそれそれのマウスの脳を調査した結果、無菌状態で育ったマウスはストレスを感じる視床下部、扁桃体、海馬など脳領域で脳活動の急上昇が見られ、強いストレスを感じていたことがわかったといいます。この脳の領域を活性化させているのはマウスの副腎から分泌されるストレスホルモン(コルチコステロン)です。
そこで、無菌状態のマウスから副腎を摘出した結果、同じ無菌状態でいたにも関わらず社交性は特に問題はなかったといいます。


なぜ無菌状態だとコルチコステロンが大量に生成されてしまうのか。結果的にEnterococcus faecalis、エンテロコッカス・フェカリスという菌種が腸内にいないことで、ストレスホルモン(コルチコステロン)を作ることという命令が脳から出され続けていまい、結果的に社交性にまで影響が出ていたということが理由です。

つまりエンテロコッカス・フェカリスという細菌が腸内にいればいいという単純なことになるのですが、マウスを用いた実験でもこの菌種を与えたところやはり社交性が戻ったとしています。


対人関係が苦手な人はエンテロ コッカス・フェカリスという性格も変えてしまうやばい菌種が欲しいと思ってしまうのですが、いったいどのように手にいれればいいのか。調べたところ一般的な腸内環境を整える系のサプリメントに入っているらしく、商品説明には「腸内細菌でストレスが軽減する」という的を得たような効果を謳うものも存在しています。

「たかが腸内細菌でストレスが軽減するわけがない!」とこれまで思っていたのですが、どうやらそうではなかったようです。ちなみにこの研究を元にサプリメントを服用したところで性格が変わったり社交性が変わるという人間での試験は皆無だと考えられます。つまり効果は不明だということです。