火星

人類が今世紀中にも到達するとされているのは火星です。一方で、宇宙放射線や火星の地表における放射線は無視できない数値となっているのですが、これに関してNASAは今後の長期間の有人宇宙探査を見越してか宇宙飛行士の被爆の上限を引き上げが提案されているものの、これでは不十分だとされています。

現在NASAにおける宇宙飛行士の生涯曝露限界は、30歳女性で180ミリシーベルト(0.18シーベルト)、60歳の男性で700ミリシーベルト(0.7シーベルト)です。これにより、95%の信頼確率で放射線被曝による死亡のリスクを平均で3%以下に制限することができるというモデルに基づいたものになっていました。

Report backs NASA proposal to change astronaut radiation exposure limits - SpaceNews

NASAではこれまでの宇宙飛行などから宇宙飛行士それぞれの被爆量を管理しており、この上限に達する場合、二度と宇宙に飛び立つことはできなくなります。一方で、今後月や火星など地球軌道よりも高い宇宙放射線に晒される環境ではこの上限に容易に到達してしまう可能性があります。
もちろん今後活躍が見込まれている女性宇宙飛行士にとってはこれが原因で宇宙に飛び立つ機会が失われる可能性があります。

そこでNASAは年齢や性別に関係なく男女600ミリシーベルト(0.6シーベルト)に変更することを提案。これは35歳女性の死亡リスクを平均で3%という基準に基づいたものから導き出されました。


ただ、この3%という数値についてはアメリカで危険な仕事に携わる人の数値からすると桁違いに低い数値になっていると国立アカデミー委員会は指摘。今後の宇宙探査を見越した上で、宇宙飛行士という極めてリスクの高い仕事をしている人にしたいて当てはめるのは不適当だという主張をしています。

その理由については米国医学研究所(IOM)によると500日の火星ミッションで宇宙飛行士が受ける合計被曝量は1,000ミリシーベルトを超えるとされています。つまり600ミリシーベルトというのは無理があると見ています。

一方で、日本のJAXAやロシアのロスコスモス、欧州宇宙機関などは年齢や性別の違いなしに宇宙飛行士の生涯曝露限度を1,000ミリシーベルトに設定しています。

ちなみに有害な宇宙放射線に関して、火星に送り込まれた探査機キュリオシティに搭載した放射線評価検出器の結果として、地球~火星の宇宙空間における1日当たりの放射線量は平均1.8ミリシーベルトでした。これは1時間あたり75uSv/hということで、地球上で暮らす私達の環境と比較すると目安として1,000倍以上ほど高い数値になります。

つまり宇宙船には何らかの放射線対策が必要であり、特に行き来の時間を減らすことで大幅に被曝量は削減できます。

このエントリーをはてなブックマークに追加