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1963年4月9日、アメリカの原子力潜水艦スレッシャー級原子力潜水艦 一番艦 SSN-593 スレッシャーが試験航海中に沈没した事故に関して、最近公開された公式文章によると事故発生から約1日ほど乗組員が生きていたことを示す内容があったと報じられいます。

The DRIVEによると、この文章はアメリカ地方裁判所の命令によりアメリカ海軍が昨年から公開し始めている公式の文章で2021年7月9日には同艦の事故の機密が解除されたといいます。それによると、SSN-593 スレッシャーが沈没したと確認されてから、少なくとも約24時間ほど乗組員の一部が生きていたことがわかったとしています。

USS Thresher’s Crew May Have Survived Many Hours After Its Disappearance According To New Docs

この事故は当時スレッシャーが深海潜水試験を行っていた時に発生しました。詳しい事故の原因は記載すると非常に長くなるためWikipediaで別途閲覧していただくことして、この事故は4月10日午前9時18分頃に潜水艦が水圧で押しつぶされるようなノイズを原子力潜水艦USSシーウルフが拾ったことで始めて事故が明らかになりました。

翌日、4月11日の午前10時30分頃、USSシーウルフは沈没地点付近に到着。午前12時11分頃にBQCと呼ばれる遭難ビーコン信号が発せられていることを発見。BQCはSSN-593 スレッシャーには複数取り付けられておりさらに手動作動させる必要があったそうです。結果、少なくとも2つから信号をキャッチしました。

その後、このビーコンが意図的に入り切りされていることがわかり、沈没したSSN-593 スレッシャー内で乗組員が生きていることがわかったとのこと。何度かビーコン信号は受信できたものの、同日午後2時24分にはおそらくバッテリー切れで以降信号が発せられることはありませんでした。この間、少なくとも37回の信号が確認されたといいます。

そして沈没した潜水艦から金属を叩く音が聞こえ始め、USSシーウルフは乗組員にも聞こえるようにアクティブソナーを用いて「5回叩いてくれ」と信号を出しました。すると5回はなかったものの3回叩く音が聞こえたといいます。音は11日の午後8時30分まで聞こえ、その後、シーウルフは報告のため浮上しました。


▼スレッシャーの捜索活動(4月15日)
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事故発生から約2日後の4月12日早朝、行方不明になった潜水艦を探すための4回目の捜索が行われ、潜水艦のアクティブソナーを用いて聞こえるよう呼びかけを行ったものの反応はなかったとのこと。この結果を受けて4月12日午前5時52分に捜索は終わったとしています。

その後の調査では沈没したスレッシャー号は海底約2500mという深海に沈んでいることが判明します。スレッシャー号を含めてこの手の原子力潜水艦は圧潰深度(水圧で押しつぶされない深度)は数百メートルと言われており全員が死亡したと判断されました。