C2014 UN271_1

巨大な尾を付けながら夜空に浮かぶ彗星。これに関して観測史上最大と考えられている直径100kmを遥かに超える可能性がある超巨大彗星が接近中だと報じられています。ちなみにハレー彗星は最も大きいところで直径15kmです。

この彗星はC/2014 UN271と現在名付けられている彗星で、文字通り2014年に初めて観測された彗星です。正しくは、発見者となったアメリカペンシルベニア大学のペドロ・バーナーディネッリ博士とゲイリー・バーンスティーン博士の名前から「C/2014 UN271 Bernardinelli-Bernstein(バーナーディネッリ-バーンスティーン)彗星」というマスコミや新聞社が取り扱いにこまるほどの長い名前になっています。

ではこの彗星、何が注目されているのか。それは非常に単純で見出しでも紹介したように直径100kmを超える可能性があるという点です。



この天体については今月2日にお伝えしたばかりなのですが、いろいろと情報が更新されています。この1ヶ月ほどより正確な軌道計算がされたことで、今から約150万年前に40,000AU(地球と太陽の距離が1AU)の距離から太陽に近づいていたことがわかり、現在の軌道計算では太陽に最も近づくのは2031年で土星の公転軌道付近を通過し、そのまま遠ざかります。

▼C/2014 UN271(白線)はサターン(土星)の外側の軌道まで入り込み通過していくと予想されています
2014 UN271_1


この彗星は直径は100km以上(最大300km)とされているのですが、残念ながら土星に近づいたとしてもあまりに距離が離れすぎているため肉眼で見ることはできないだろうと考えられています。

現在、2021年7月時点でC/2014 UN271は太陽から19AU、つまり地球と太陽の距離の19倍 約31億kmの地点を内側に向けて移動中です。過去の観測、29AUの距離ではよく分かっていなかったものの、現在19AUに接近したことで、天体の輪郭がぼやけており岩石の小惑星ではなく、ガスやチリを大量に含んだ彗星であることが示唆されています。

▼C/2014 UN271(中央)、中央のコアの周りにぼやけた境界が確認されている
C2014 UN271

この彗星のその後については、土星軌道まで近づいた後は太陽から遠ざかり450万年という歳月をかけて太陽から54,000AU、8兆1000億kmという想像もできない位置まで遠ざかります。そして再び数百万年の歳月をかけ太陽に接近してくるとのことです。