image_80

業務用から一般まで購入できるDELLの製品。しかし、販売されているPCの消費電力が州の規制に引っかかり一部地域では販売できないという事態に陥っています。しかし低消費電力のエコPCが厳しく規制され、全くエコではない高消費電力PCが全く規制されていないという意味不明な内容になっています。

職場などでお使いのPCはDELL製品も多いと思うのですが、実はDELLは個人向けとして最近ではゲーミングPCなども販売されています。ゲーミングPCとは最新の綺麗なグラフィックでゲームをプレイできるというPCです。つまり一般なPCで行える最も高負荷な処理を行うことになります。しかし、DELL製品の一部で消費電力が高すぎるなどとアメリカの州規制に引っかかり注文は発送ができないことになっています。

具体的にどのようなPCなのか、ALIENWARE AURORA R12 GAMING DESKTOPというPCがそれにあたります。

image_79

注文画面には「消費電力規制のためカリフォルニア、コロラド、ハワイ、オレゴン、バーモント、ワシントンには出荷できません。注文してもキャンセルされる」という文言が記載されています。

ただ、PCの構成を見た場合、インテルCore i5 11400Fとミドルクラス、GPUという大量に電力を消費するパーツもゲーミングPCとは言えないレベルのGTX1650でエコなローエンドモデルです。PCに搭載されている電源も550Wと低いもので、ゲーム時の消費電力は想定では高くても300W程度と考えられます。

より消費電力が多い上位グレードのPCはどうなのか。例えば同じALIENWARE AURORA R12 GAMING DESKTOPでより高性能なCPUとGPUを搭載した爆熱・電力喰いまくりモデルもあるのですが、なぜかこちらのPCは州の規制をクリアしており、ご丁寧に「全部の州に出荷できると記載されています。」

構成としてはCPU性能が低性能な微妙な割に消費電力が高い「インテル、おわってる」の代名詞になっているCore i7 11700KFを搭載。GPUも先程のモデルよりもハイグレードで高消費電力のRTX3070Gを搭載。電源は1000Wクラスを搭載しています。予想される消費電力は300~400Wオーバーで先ほどのPCよりも明らかにエネルギー効率は悪くなっています。

明らかにおかしい州の規制

紹介したようにより低消費電力のPCが何故か規制され、高消費電力のPCが全く規制されていないという意味不明なものになっています。海外メディアでは「DELLが非常に強力でエネルギーを大量に消費するPCを販売しているためいくつかの州で禁止されています」としているのですが、実際は逆であり低消費電力のPCが規制されています。

なぜこのようなものになっているのか。法律は不明なのですが、PC構成から察すると搭載されている電源容量に対する実測ワット数で規制されている可能性があります。

つまり550W電源を搭載し300Wを消費する場合と1000W電源を搭載し400Wを搭載するのでは後者のほうが低消費電力だと誤った認識がされているというものです。
ちなみに1000W電源というのは「0~1000Wまで出力できますよ」という意味です。器の大きさのようなものです。例えば1000Wの電源を搭載し、実際は30Wしか消費しない超省エネPC構成だった場合、当然1000W電源だろうが100W電源を搭載していても実際に消費される電力実測値は30Wと変わりません。(5W程度の変換効率誤差はでる)

他に考えられることとして1Wあたりの全体の処理効率が低い・高いで規制に引っかかっている可能性もあります。

いずれにしてもこの規制はパット見た感じ欠陥があるものになっており、まったく意味のないものになっています。ちなみに今回はDELLを取り上げたのですが、他のメーカーでも内部のCPUとGPUは同じであり同じ問題を抱えているということになります。