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通常、滑走路に着陸する際にエンジンによるブレーキを行う逆噴射。実はこのような逆噴射は飛行中に行うことがあるそうです。もちろん民間機ではなく軍用輸送機になるのですが、なぜ危険な逆噴射を行っているのでしょうか?

最近イギリス空軍がSNSに、C-17グローブマスターIIIというアメリカが開発した最大の軍用輸送機が空中を飛行中に通常は絶対に行わない逆噴射を行う様子を投稿しました。極めて危険な行為なのですが、実はこれはある特殊な飛行を行う目的で行っているものらしいです。

こちらがその映像です。確かにエンジンが変形し逆噴射を行っている様子が確認できます。

これについてイギリス空軍によると、わずか2分で巡航高度30,000フィート(約9150m)から5,000フィート(約1500m)に急降下することができるといいます。

ただ、このような特殊な飛行についてイギリス空軍によると「高高度から素早く着陸したいときに使用される」と説明しています。「非常にダイナミックな動きであるため、緊急時に以外に使用される可能性は低い」という趣旨の内容もあります。

つまり、このような飛行は戦地など危険な滑走路に着陸する際に、高度から短時間に高度を落とす方法として緊急時に用いられるというもののようです。



このような空中での逆噴射は危険ではないのかという点について、TheDRIVEによるとC-17のパイロットの話を紹介しており「失速のリスクはなく、飛行はかなり簡単です」と記載しています。また自動キャビン加圧システムにより耳と体には比較的優しく、加えられるGも0.0から2.0G程度だとしています。

ちなみにロシア軍でも同様に危険な滑走路に着陸する方法として機首を大きく下げた状態で着陸する通称「アフガンランディ」という着陸方法があります。こちらは安全な滑走路付近の横を通過、180度旋回し機首を下げた状態でアプローチ、着陸寸前で機首を引き起こします。

▼貴重なアフガンランディの展示飛行


▼コックピット視点




Watch This C-17 Engage Its Thrust Reversers In Mid-Air To Make An Extremely Rapid Descent