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欧米の研究チームは高度40kmで数カ月間運用できるというSuperpressure Balloon-borne Imaging Telescope、SuperBIT、超圧気球撮像式望遠鏡の研究を行っています。この気球は安価で、かつ良好な観測結果を得られると結果が報告されています。

簡単にまとめると
  • 50cmの望遠鏡を高度40km、4ヶ月間連続した観測に成功
  • 費用は約5億円(今後打ち上げる宇宙望遠鏡は約1兆円)
  • 地上よりも大気の影響を99.5%カット
  • 宇宙望遠鏡では不可能なその時代の最新機器を搭載して観測できるメリットもある
地上に設置できる望遠鏡は巨大化できる一方で、観測には絶対的に避けて通ることができないノイズが入り込みます。それは地球の大気。この大気が観測が邪魔で、この手の大型望遠鏡はその影響を少なくするため乾燥したハワイの山など高所に設置されます。強力なレーザーを用いて大気の影響はカットさされているもののそれであっても宇宙で直接観測するよりも大気によるノイズは入り込みます。

ただし、宇宙望遠鏡となるとその維持コストは莫大です。例えばハッブル宇宙望遠鏡に変わる宇宙望遠鏡としてNASAが今年10月に打ち上げるジェームズウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、この開発から打ち上げ費用は驚異の100億ドル(約1兆円)です。これはJAXAの年間予算の数年分という規模です。
地上設置型の大型望遠鏡はこれよりも安いもののそれでも莫大な維持コストがかかります。

天体観測という明らかに他の研究よりも費用がかかるこの分野。これに関して、カナダやイギリス、アメリカのプリンストン大学などの研究者はNASAやカナダ宇宙局と共同で成層圏宇宙望遠鏡を開発しています。

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これはSuperpressure Balloon-borne Imaging Telescope、SuperBIT:超圧気球撮像式望遠鏡などと呼ばれているもので、見出しでも紹介したように一般的な観測気球のように成層圏まで上昇させる特殊な気球を用いてそのペイロードとして天体望遠鏡を搭載するという案です。

これにより大気による影響を地上よりも99.5%カット。ほぼ宇宙と似た環境で観測が可能になります。そして運用コストは今回の研究では500万ドル、約5億円ほどで開発から一連の研究が行えたとしており、非常に安価だとしています。

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気球は地上40kmに到達。この時の気球本体は膨れ上がりサッカー場ほどの大きさまで膨れ上がるとしています。ソーラーパネルを搭載しており日中は発電、夜間は観測を行います。そして4ヶ月間、天候に左右されることなく運用し続けることができます。
研究終了後はバルーンが破裂しパラシュートで落下。記事を読む限りではすべてのデータを抱えたまま地上に落下するのではなく、データを記録したドライブ(予想ではSSD)を個別に地上に落下させるとしています。

研究者によると、今回の研究では宇宙望遠鏡と同等レベルの優れた天体写真を安価に撮影することが出来たとしています。また研究者はこの観測方法の利点として地上および宇宙では機材の交換が難しい点があるものの、気球では打ち上げるたびに最新の機器にアップグレード可能だとしており、ハッブル宇宙望遠鏡のようにアップグレードがほぼ不可能で維持コストは同じ額がかかり続けるようなものより優れていると主張しています。

今回の研究では直径50cmの望遠鏡が搭載され打ち上げられたものの、次の公式観測では1.5mの望遠鏡を搭載します。その後は最大2mサイズを搭載するとしており、ハッブル宇宙望遠鏡の2.4mにはかなわないものの、安価な観測機器として運用を開始します。
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