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次世代兵器として一部で運用されているのはレーザー兵器です。これに関してアメリカ空軍は戦闘機に搭載可能なサイズまで小型化したレーザー兵器に関して、飛行中を再現できる風洞施設で実験を進めていると報じられています。

The Dribeによると、米軍のアーノルド技術開発センターは2021年3月にテネシー州にあるアーノルド空軍基地にある超音速環境を地上で再現できる風洞を用いて、戦闘機に搭載可能な実物大の指向性エネルギー兵器をテストしていると報じています。

試験されているのは、搭載する機体がマッハ2で飛行している状態を地上で再現しているといい、その状態で高度を0メートル付近から高度30kmという一般的な旅客機の約3倍という高高度環境での挙動を人工的に確認しています。

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これは一般的なミサイルから戦闘機の小型模型を風洞に入れて同じように試験されいてるもので、例えば高高度や高速で飛行しているときに想定外の振動が発生しないかなど、重大なトラブルを試験飛行の前に確認することができます。このような施設は軍事以外でも利用されており、第二次世界大戦時にも既に利用されています。

現在米軍としては既に戦闘機に搭載する指向性エネルギー兵器については8年ほど研究しているとのこと。今後の予定としては試験される予定の機体はF-15戦闘機としているらしく、風洞を用いて1/4サイズのF-15と指向性エネルギー兵器ポッドを搭載した状態で試験がされるとしています。これは2021年後半にも実施予定としています。

指向性エネルギー兵器

レーザーやマイクロを用いた指向性エネルギー兵器については、その威力は単純に兵器から放たれるエネルギー量に比例します。つまりエネルギーが強ければ強いほどターゲットに与えるダメージも強くなるのですが、その強いエネルギーを照射するには機器が大きくかつ重くなります。そのため、戦闘機に載せるようなサイズとなると小型化が難しく、出力も十分に得られないという問題が発生します。

▼ロッキード・マーティンの指向性エネルギー兵器(構想)


今回開発されている指向性エネルギー兵器の出力はどのくらいなのかは不明なのですが、過去に行われた各国の試験では50kWの出力で1km先の鉄板を破壊できたとされ、100kW級ではその有効射程が3km程度とされています。



現在開発されているレーザー兵器が例えばSF映画であるような長期から敵機を撃墜するような兵器ではなく、どちらかというと飛来するミサイルをレーザーで無力化するという使われ方もするというものになっています。

そのため、ミサイルのように数十km先の敵機を撃墜できるようなレーザー兵器というのは現在の技術では作り上げることは根本的に難しく、ミサイルがレーザーに置き換わるというのは10年単位でまだまだ先の話しになります。仮にそうなったとしても戦闘機から機銃が無くならないようにレーザー兵器が本格的に運用され始めたとしてもミサイルは無くならず、完全に置き換えられるのは50~100年ほど先になると考えられます。