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水面下で動く対中包囲網。その一つとして今回、オーストラリアがアメリカ、イギリスから技術提供を受ける形で将来的に事実上、原子力潜水艦を保有ことになりました。ただ、あくまで動力が原子力というもので、オーストラリアとしては「核兵器の保有はしない」としています。

オーストラリアについては2016年頃に20年以上前に配備したコリンズ潜水艦を置き換える目的で海外製の潜水艦を導入するという計画を発表していました。これについては日本の潜水艦の導入の話しもあったのですが、結果的にフランスの造船会社に依頼するという形になりました。

ではこの通常動力型潜水艦のフランス製潜水艦はどうなるのか、実はこれに関してはフランス側のとの潜水艦建造の話しは計画をキャンセルするとしています。しかし、この唐突とも言える発表についてはフランス側の公式発表をだしていません。


ロイター通信によると、今回の原子力潜水艦保有に向けた動きはジョー・バイデン大統領、ボリス・ジョンソン英首相、スコット・モリソン豪首相により発表されたもので、『原子力潜水艦保有を支援することを含む安全保障パートナーシップを構築する』というものです。

具体的な計画についてはよく分かっていないのですが、この原子力潜水艦はアメリカ及びイギリスが原子力潜水艦の配備に向けた技術と能力を提供するというものになっており、潜水艦はアデレードで建造すると言う話もでています。

ABCニュースによるとアメリカ・イギリス・オーストラリアの安全保障条約は『AUKUS(オーカス)』など呼ばれており、今回の協力については何れも中国を強く警戒したものになっています。バイデン大統領は「我々は皆、インド太平洋の平和と安定を長期的に確保することが必須であると認識している」としており、バイデン政権ではこのように中国に対しては強い姿勢で望むということが現れています。

核は不所持、日本は?

原子力潜水艦というと核兵器を搭載した弾道ミサイル潜水艦というイメージがあるものの、実はそうではなく、アメリカでは原子力潜水艦でも核兵器を搭載していない攻撃型原子力潜水艦というのは存在しています。

バージニア級原子力潜水艦
▲バージニア級潜水艦。原子力を搭載しているものの兵装は通常魚雷とトマホーク(潜水艦発射巡航ミサイル)となっている

オーストラリア政府も今回の発表に合わせて「核不拡散の義務を果たしていく」しています。ただ、核を保有しないというのは『原子力潜水艦建造の条件』になっている可能性も伺えるものになっており、何れにしても核については、オーストラリアが核戦争に巻き込まれたのであれば、アメリカが核の行使という代替を保証するという対応になっているということになると考えられます。

一方、日本については世界有数の広大な排他的経済水域がある一方で原子力潜水艦は保有していません。これはコストパフォーマンスや、日本の相次ぐ技術流出から協力ができないという点もよく指摘されているのも事実です。しかし、中国以外も、北朝鮮が核を事実保有するなど日本周辺の状況は10年前よりも急速に悪化してることは間違いなく、いつかの時点でこの手の兵器の保有論は加速していく可能性があると考えられますと考えられます。ちなみに日本の原子力潜水艦保有論については1980年代から存在しています。