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皆さんの身の回りにも耳の上くらいの位置に穴が空いている人はいないでしょうか。もしかするとご自身がそうなっているという方もいらっしゃるとおもうのですが、実はこの穴、魚類ではエラとなる構造であるという説があるそうです。

みなさんは耳の付け根の上部に「小さな穴」がありませんか。もし見つけたら、それはあなただけに偶然できたものではありません。同じ穴を持つ人は、世界中にたくさんいるのです。この穴は、遺伝で伝わる先天的なもので、片耳だけの場合もありますし、両耳の場合もあります。 しかも、この小さな穴の正体は「魚のエラ」の名残りと言われているのです。

ナゾロジー
これは耳瘻孔、医学用語では先天性耳瘻孔というもので耳の生え際付近に生まれつき小さな穴があいている場合があります。医学的には「耳の奇形」という表現が用いられているのですが、何故同じような位置に同じような構造ができるのでしょうか?

実は人種によって耳瘻孔ができる割合が異なっており、例えば私達日本人を含む東アジア人では10人に1人、欧米人で100人に1人くらいの割合でこれがあるといいます。

医学的にはこの構造を持たず生まれて来る人が圧倒的に多いのですが、これについては遺伝的な要因から両親のどちらかが耳瘻孔があればその子も耳瘻孔をもって生まれてくる率が高くなるためです。

そもそもなぜこの窪みができるのか。その理由について記事によると、あくまで有力な説として妊娠4週目くらいまで『咽頭弓(いんとうきゅう)』という部分があり、この咽頭弓は魚類だとエラへと発達する部分になるとのこと。専門家の話しとして「特に、人間の耳は魚のエラから派生し、聴覚機能はエラの構造に対応している」という主張もあるそうです。

地球上の生命は陸上ではなく、何億年も前に海から上陸した魚の祖先といわれています。つまり、私達哺乳類の祖先と魚類が分岐した時には当たり前のようにもっていた構造が、現在も残っているということになります。

人体に残る数億年前の名残

「流石にそんな名残な残っているはずないだろう」と思ってしまうのですが、これ以外にも人間の体には何億年も前の名残があるといわれています。

例えば人間の肺。体内の相当大きい空間を占めているのですが、その理由について説として、今から2億5000万年ほど前に発生した地球の低酸素時代に肺を巨大化させた種類が生き残ったとされ、その名残が今も残っているともいわれています。

ちなみに、鳥類を含め恐竜の優れた肺機能、つまり気嚢を獲得したのも低酸素時代といわれており、この進化があったことでその後の大繁栄に繋がったともいわれています。