ズムウォルト級ミサイル駆逐艦_1

アメリカが開発したズムウォルト級ミサイル駆逐艦。これは高いステルス性能と第二次世界大戦時のような主砲を2つ載せ、長距離から正確に的を攻撃するという案で誕生しました。しかし、この主砲を取っ払い、結果的に極超音速ミサイルを発射する機構を搭載する予定になったと報じられています。

ズムウォルト級ミサイル駆逐艦に関しては、その見た目、そして155mm砲を2つ搭載することで最大射程が130kmを超え、命中精度は20~50m程度という精度を目標としていました。将来的にはレールガンを搭載することで射程は200~300kmという桁違い攻撃力を獲得するとされていました。

▼一昔前の構想。現在はこの主砲を取っ払う方針になっている


しかし、状況は一変。現在搭載している155mm砲から放たれる砲弾が1発1億円というよくわからないほど高価で海軍は2016年に砲弾の購入を中止。現在レールガンについても開発は事実上停止となっており、当然『砲』と『砲弾』が使えないということになりました。その後、海軍はこのどうしようもない艦艇の使い道を探ることになりました。

▼一昔前の構想。ミサイルと主砲で敵を攻撃するという、今思えばよくわからない攻撃方法だった
ズムウォルト級ミサイル駆逐艦_2

時は流れ2021年。ズムウォルト級ミサイル駆逐艦に関して2つの艦砲を取っ払い、IRCPSという中距離の極超音速兵器を発射するミサイル駆逐艦として改装することを海軍が予定していると報じられています。海軍は現在、2025年末までにこのミサイルをある程度運用できる状態にすることを望んでいるとしています。

記事によると搭載するのはAdvanced Payload Module(APM)というキャニスターだとしており、これは潜水艦にも搭載されているもので、将来的にはバージニア級潜水艦などにも同様の兵器が搭載できるだろうとしています。

ズムウォルト級ミサイル駆逐艦にはイージス艦などに搭載されているVLSという通常のミサイルを発射できる装置が搭載しているのですが、海軍としてはこのVLSを追加装備するという方針は無いとしています。


ズムウォルト級ミサイル駆逐艦に関しては当初31隻配備する計画だったものの、現在3隻のみ建造され以降はすべて中止となりました。様々な見方はできるのですが、この艦自体が事実上失敗兵器だったということになります。

参考:The Navy's Stealth Destroyers Will Have Their Deck Guns Replaced With Hypersonic Missiles