X-59

主にアメリカで研究が進められているいるのは音速を突破する時に衝撃波を軽減させた機体です。これは旅客機に応用する可能性が示されているのですが、その機体となるX-59の最終組立段階に入っていると報じられています。

現在空を飛ぶ民間旅客機の速度は音速を超えた飛行はしていません。つまり亜音速になっているのですが、近い将来音速を超えた超音速旅客機の再登場が予想されています。

一方で問題になるのはそのような機体が音速を超えた時に「パーン」という激しい音や振動となり人間の耳に聞こえる点です。これは新たな騒音につながる可能性があります。そこでNASAはこの音を低減しようと機体デザインを見直し、静かな超音速機の開発を続けています。

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これはX-59という機体で2018年に航空宇宙また軍需大手のロッキード・マーティンのスカンクスワークスにより機体製造開始。2021年末時点で最終組立段階に入っているとのこと。今後、内部システムの組み立てと電源の投入試験を行いフォートワース工場に出荷し、まずは地上での試験を実施。2022年にも初飛行を予定しています。

冒頭紹介したようにアメリカでは現在亜音速の旅客機ではなく将来的に超音速の機体も投入するべく研究開発が既に始まっています。共通していることは超音速を突破した時に地上の人の耳には聞こえないほど静かに音速突破できる機体です。これによりアメリカ本土では音速突破が禁止されている条例も回避できる可能性があります。

ただ、そのような乗り物が本当に主流になるのかは未知数です。過去に同じ超音速機コンコルドで失敗した例もあり懐疑的な意見もあります。
また、いわゆるベストセラーの機体というのは旅客機のサイズ(乗客数)と飛行速度の一定の関係があるとされています。つまり乗客数が少なく飛行速度が速いコンコルドや、乗客数が異常に多いものの亜音速のエアバスA380は製造数が少なく短命になっています。

これに当てはめると静か超音速機が成功するには少なくとも現在の一般的な乗客数もしくはそれ以上の数を搭乗を可能しなければ失敗するということになるのですが、現在は新型コロナウイルスなどで旅客数も減っており開発を継続することはそもそも妥当なのか、厳しい状況になっている可能性があります。