辰砂_1

人体に有害な重金属、水銀。これに関して、スペインとポルトガルに埋葬された人間の5000年の人骨から最大で400ppmという桁違いの水銀レベルを検出していたと報告されています。

一般人であればメチル水銀と呼ばれる自然・工業由来の物質であれば魚などを通じて人間の体内に入り、神経系の障害や妊婦であれば子供の発達障害などのリスクが増すとされています。このメチル水銀は日本では水俣病が有名です。

この例えばメチル水銀など体内に入った水銀は髪の毛などから排出されるものの、そのレベルは1~
2ppm以内
としています。では今回遺跡で見つかった5000年前の人骨はどうだったのか。研究者によるとこの人骨はスペインとポルトガルという地理的に比較的近い地域に埋葬された370人分の人骨を分析した結果、一部の遺跡では最大で400pmという桁違いの水銀を検出したとしています。

なぜこれほど大量の水銀汚染を引き起こしたのか。当然、当時は汚染物質を排出するような工場もなく自然由来の汚染であることは間違いないのですが、それにしてもあまりにも汚染レベルが高すぎます。

メチル水銀については例えば火山活動などでも一定量発生するとのことなのですが、研究者によると原因については火山などの災害ではなく、硫化水銀鉱物である『辰砂』が原因ではないかとしています。
辰砂は赤色の顔料でこの色が昔から神秘的な物資として当時の儀式などに用いられていたといいます。結果的に辰砂に含まれる水銀が大量に人体に溜まったとした可能性があるとのとです。

辰砂と人類

この地域における辰砂の利用は約7000年前からはじまったといい、水銀の最高レベルは紀元前2900年から紀元前2300年頃に最大になっていたとしています。しかし、紀元前2200年頃になると使用は大幅に減少していったとのこと。

▼辰砂が施された漆器(中国)
辰砂_2

ポルトガル南部では墓に辰砂の粉末が壁に塗られていたり、置物の装飾として多用されており、このような儀式でも大量に使われていたことから、そのような職人が水銀汚染に晒されていたと考えられています。

ちなみに辰砂については日本では弥生時代から産出されており、古墳や石棺の装飾として用いられています。

参考
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