日本ではその季節に応じて冷たい水、温かいお湯を出します。しかし中国では夏でもお湯を飲むと言います。これについては日本観光に訪れた中国人が受けるカルチャーショックの一つだと言われているのですが、なぜ中国人はお湯を好むのでしょう?
中国における水とお湯を飲むことについては、まずは冷水は貧しい人、温かいお湯は豊かな人という意識が昔は存在していたそうです。中国青年報は検索・ポータルサイトの百度の公式アカウントを通じて27日、「熱水を飲むことを愛することは、いかにして中国人のDNAに刻まれたのか」と題する企画記事を紹介した。記事は冒頭で、成人男性の体の60%、女性ならば50%から55%は水と説明し「賢い水分の飲み方」を紹介するとした。
記事は「お湯を飲む歴史」について、古い時代には燃料が不足していたので、普通の人にとって熱水は望んでも得られなかった贅沢(ぜいたく)品だったと紹介。唐代(618-907年)になっても熱水を飲めたのは上流階級だけで、底辺の人々は水はおろか、食事も冷たいものだったという。
Record China
その後、13世紀までに庶民の間でもお茶がブームとなり、温かいお湯を飲めるようになります。そして1930年代に入ると細菌学の発展を受けて冷水ではなくお湯が体に良いという科学的証拠が出始め、1932年のコレラ流行で水を沸かして飲むことで感染予防につながったといいます。
また中国政府は1950年代になると、水ではなくお湯を飲めキャンペーンを実施し、幼稚園児から大人まで積極的にお湯を飲むように政策を展開したといいます。結果的にこのような流れから現在のお湯を飲む文化というのが定着していったとのこと。
具体的にお湯が冷水に比べてどの程度体によいのかは日本ではほとんど知られていません。そのような番組や研究もほとんど見聞きしたことはありません。しかし、中国では風邪をひいたらお湯を飲むと言われるほど、特に効果はないもののお湯を好むといい、暑い夏でもお湯を飲めば発汗作用が強まり体温を冷やせるなど、かえって熱中症になるのではないかという真偽不明な効果もあるとされています。
この記事では例えば大量の氷水を飲むと血管が急速に狭まり心臓や脳内の血液循環が悪くなり、最悪の場合心筋梗塞を誘発するなどとも紹介しており、中国人がいかにお湯が好きなのかよく分かる内容が記載されています。