高い崖などから飛び降りたくないのに「飛び降りたらどなるのか…?」というストーリーを考え出してしまうことはないでしょうか。実はこれは『虚空の呼び声』などとも呼ばれているもので、大学生の調査では実に70%以上が経験したことがあるとしてます。この現象について科学者は生物としてある意味で自然なことだと主張しています。
高い場所にいるとき、落ちたら助からないと理解しているにもかかわらず「ここから飛び降りたらどうなるだろう」と考えたり、車を運転中に「対向車に突っ込んだらどうなるだろう」と考えたりしたことがある人はいるはず。このようなふと頭をよぎる恐ろしい考えの正体について、科学系メディアのLive Scienceが解説しています。危険な行動に繋がりかねない行動を頭の中で考えてしまうということについて、海外で大学生を対象に行なった調査では実に75%が人が少なくとも1回以上経験したことがあると言います。
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ではなぜこのような命に関わる妄想をしてしまうのか。ルール大学ボーフムのトバイアス・テイスマン氏が行った研究では「脳が発する危険信号を脳が誤解した結果」ではないかとしています。私達生物は本能的に危険を察知し無意識にそこから離れるような思考回路が働くそうです。しかし、これを私達人間は、「やってみたいと思ってしまった」と勘違いしているためではないかと推定しています。
これはいわゆる自殺願望や精神的な問題ではなく、逆に人が行きたいという潜在意識からきている可能性が高いとも主張しています。
自身の状況を理解し、その先に行けばどうなるのか考えてしまうとうのは危険を予測するという点でとても重要です。例えば車を運転しているときに「そこから何かが飛び出して轢いてしまうかもしれない」というストーリーが短時間で頭の中で作り上げられます。これは形は違うものの『虚空の呼び声』と同じです。
私達は危険があるような状態ではこのような思考回路が常に働き、何かの危険から回避しようとします。これは生物としては当たり前であり、逆にそれができない状況というのは何かの拍子に訪れる危険に対処できず、自分だったり他人の生命を危険に晒すということになります。