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強力な磁力を発生させるMRI。これにより人体の病気などを見つけることができる一方で、極稀ですが誤った使い方で死亡事故が発生しています。これは2021年10月韓国で発生したヒューマンエラーによる死亡事故になるのですが、どのように発生したのか当時の様子が明らかになりました。

2021年10月14日20時20分。韓国の慶南金海市のある病院のMRI室で60代の男性がMRIで撮影中に中央の丸い空間に酸素ボンベが吸い込まれ、このボンベとMRIの機材に挟まり死亡しました。死因については酸素ボンベがぶつかったことで心臓と頭が衝撃を受け、脳震盪で亡くなったと警察に通知されました。
この時吸い込まれた酸素ボンベは高さが128㎝、周囲76㎝。重量は10kgを越えていました。

MRI에 산소통 끼여 환자 숨진 사고…“의사가 지시한 의료사고”

なぜ通常はありえない事故が発生したのか。当時、患者が痙攣や呼吸困難など危険な状態になっており、酸素吸入を継続しなければならない状態だったといいます。運ばれた患者は医師がMRI室に入り、状態が悪い患者の治療を行いながら撮影を行ったといい、金属製の酸素ボンベはこの医師が持ってこいと自ら指示していたものになります。

実はこのMRI室には酸素供給装置が別にありました。これは当然、MRI室に金属を置くという危険な行為に繋げないため、こちらから安全に酸素吸入ができました。しかし、なぜかチューブが短いなどの理由で酸素吸入が行えず、酸素ボンベを持ってくる用にMRI室にいた医師が病院職員(看護師)に指示していたことが明らかになりました。


結果てきに、MRIからわずか2mの距離にあった金属製酸素ボンベがMRIに吸い込まれ患者が死亡したということになります。では放射線技師は何をしていたのか。これも酸素ボンベを近くに置くことはできないことは常識的に知っていたもののこの医師がそのままにしろと指示したことで稼働させていたといいます。

警察は酸素ボンベをもってこいなどとあれこれ指示していた30代医師と、MRIを稼働させた20代の放射線技師を業務上過失致死の疑いで検察に送検したとのことです。

なぜ酸素ボンベを使ったのかは不明

当時MRI室には酸素ボンベを使わなくても酸素吸入ができる専用の装置がありました。しかし届かないという理由で結果的に事故に繋がりました。そもそもなぜ届かないような所に装置があるのか、届くようなチューブが無かったのかという疑問があり、根本的に病院そのものの在庫などの管理体制が全く整っていなかったことがすべての事故原因の始まりのように感じます。

この医師はMRIとCTを勘違いしていた可能性も高く、放射線技師も危険性を把握しておきながら放置するという考えられないヒューマンエラーと職務怠慢が繰り返されたということになります。