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これまで主に水中の生物に対してその水域に生息する生き物の種類を探り当てることができる環境DNAは存在していたものの、今回は空気です。つまり陸上版環境DNAの開発に向けて研究が進められていると報じられています。

湖や海、川。そこにどのような生物がいるのかは従来直接採取するなどして調査する必要がありましたが、現在はそこにある水を採取し分析することで高い精度でその水域に生息する生物の種類を探し当てることができるようになりました。

Two research teams independently used vacuums to measure biodiversity | Ars Technica

これは極めて画期的な方法で、生態系を守りながら生息する魚の量や従来種や外来種など似たDANも判別することができます。これらは私達人間も同じで生きているときに必ず排出される体液や糞便などが水に混ざることで調査を可能にしています。



▼現在の環境DNA。主に水を採取することでDNAを抽出して生物の量などを探る
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この環境DNAはこれまで一般的に水のみを対象にすることが多かったのですが、今回は空気です。つまり陸上の動物について水中生物と同じ用に調査しようという案です。

記事によると、デンマーク・コペンハーゲン大学グローブ研究所クリスティーナ・リンガード氏ら研究チームは「空気にも水と同じように様々な動物を取り囲んでいる」ということで掃除機のような装置を開発し空気を吸い込みつつフィルターで集めることで空気中から環境DNAを採取できることがわかったとしています。


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研究としてはあくまで動物園内で行った研究としてサイやキリンなどこれまで判別できたのは哺乳類30種、鳥類13種、魚類4種、両生類1種虫類1種で、この動物園に生息していないDNAも検出したことから、どうやら外の動物ではないかとしています。

精度はどのくらいか

当然水に比べると空気から環境DNAを採取するのは困難と思われるのですが、精度はどうなのでしょうか。記事によると動物園内で採取地点から100メートル以上離れたところにいる動物のDNAも採取でき、動物の餌に含まれるDNAも検出できたということで精度はある程度高いとしています。

となると、気になるのは新型コロナウイルスウイルスなど空気中に漂うウイルスのDNAを検出することはできないのかという点です。これができれば感染状況などを把握することができるのですが、現時点でこのような疑問ついては記載はされていません。